第八十六録:ホムンクルスの夢 一節「ダイヴ」
「…………」
「うーむ…どうしたもんかのう。」
「どうしましょうかねぇ。」
頭を抱える夜天羅にしゃがんでメアリーの一人のほっぺを突いているハミルトン。
それに対して反応はなく俺たちを見つめるメアリー。
クローンだから当たり前だけど顔が瓜二つ、それが四人もいる。
ただ黙っており誰の言葉にも耳を貸さない…わかっていた事ではあるが俺たちのエゴで助けたのだ。
どうにかしないといけない。
「…エミリー……」
夜天羅の後ろに隠れながら様子を伺っていたドロシーがぼそりと呟く。
まぁ…これだけ似ているんだドロシーの反応も無理はない、ただでさえエミリーの死を受け入れたのは最近。
「…あっ!」
感傷的になっていたドロシーが急に声を上げ俺たちは視線を向けた。
「どうしたんじゃ?」
「多分…なんとかなる!……かも!」
ドロシーの表情が少し明るくなりその雰囲気に微かな希望を感じる。
「ん?小型ゴーレム?」
「違うよ縁継!この子の名前はトト!!」
「お、おぉ…名前付けたのか。」
「うん!!いいでしょー!」
「あぁ、いい名前だ。」
「それで、そのトトでいったい何を?」
ザディルさんが話を戻してドロシーに問いかける、そうだ…小型ゴーレムを用いてなにをするのか?
「いまからねー!メアリーたちに接続するの!!」
「え?」
ドロシー以外の声が重なりすぐに静寂に包まれた、誰もドロシーが言っている事を理解できない。
「じゃあー!いくよー!!」
「ちょ、待つのじゃ!」
勇んで向かうドロシーを夜天羅が慌てて制止、振り返ったドロシーの顔なぜ止められたかのか分からないと言った感じだ。
「もうちょい!もうちょい説明をしてほしいのじゃ!」
「うーん…と、ねー…前にラグナがした感じのやつ!!」
前にラグナがしたやつ…あぁ、なるほどそう言う事か。
ラグナがドロシーを助けた時みたいにメアリーたちの中へ入るつもりか。
「夜天羅、ザディルさん、ドロシーはメアリーの中に接続して中から解決するつもりだ。」
「なんと!」
「それは…また何というか奇怪な…」
俺たちはザディルさんの情報の読み取りでメアリーを理解はしているが根本の技術がわかっていない。
そこはどうのしようもないが…やはりその辺りはドロシーが一番明るい。
にゃーん…にゃ!!
「わ!コイスケ!なにー!」
ドロシーの足元の影からコイスケが現れ寄り添う様に佇む、何かあった際のためにそばにいてくれるのか?
「ドロシー…一つ約束だ、危ないと思ったらすぐに引き返してくれ。」
「わしからも同じ約束じゃ、ドロシー。」
「わかったー!!ドロシー!頑張る!!」
そう約束を交わして夜天羅はドロシーから手を離してメアリーの方へ向かうドロシーを見送る。




