第八十五録:悪に至る無垢は悪意なく── 四節「代償」
「おぉ!!」
拡散し続ける罰光に対して刀を振りいなして足を進めてゆくがスピードは流石に落ちる。
正直、情報がある分舐めていた所はあるが拡散弾の連射性が想定外。
絶え間なく連射し続けチャージの必要もない…技術の向上もあるがタネはそれだけじゃない。
「っ!」
ヤバい…さらに連射の速度を上げ始めた、まださばくのは対応圏内、しかし俺には焦りが募り始める。
メアリーにはこれ以上、過度に力を使わせるわけにいかない…助けるためにはだ。
クラレントのこの過剰とも言える性能と動力の根幹…それは───メアリーそのもの。
彼女たちの魔力を命を急速に消費する事で無理やり底上げしているに過ぎない。
それに合わせてメアリーは作られた…もはやクラレントの生体部品だ。
人の形をしているのは生物でしか魔力を生成し得ないから…いくら脳髄を生かせても魔力を生成することはできない。
「……残酷な事を平気でする。」
怒り、カトレアに対しての怒りが沸々と湧き上がってくる…だが、先ほどみたいに取り乱したりはしない。
静かに、冷静に、怒りを制御する。
「ふっ!!」
パリィン……
罰光をいなし続け頭部まで接近しその単眼のレンズを拳で叩き割り修復を阻害。
「うおっ!!」
クラレント01のバルカンが即座に火を吹く、避ける俺にさらに追い討ちでブレードが襲う。
つかさず刀で受けるも足場が悪く踏ん張りが効かずに衝撃と共に飛ばされてしまう。
「ちっ!」
空中で舌打ちをする、クラレントの方へ視線を向けると無防備な俺に再びブレードが迫る。
俺は刀で受け流しながら身体を回転させて躱す、そしてクラレント01の腕へ着地して体勢を整え相手が行動するより早く腕を駆け上がってゆく。
振り払う直前に飛び上がり上空へ、そこにつかさずブレードによる攻撃を仕掛けて来る…想定済みだ。
刀を構え全力で振りクラレント01の肘関節を叩き斬る、完全に斬り落とす事は出来なかったがこれで左腕は使い物にならない。
修復も時間がかかるだろう。




