第八十五録:悪に至る無垢は悪意なく── 二節「互助」
クラレント二体の統率の取れた攻撃を捌く、幸いにも俺はザディルさんのおかげでこのクラレントというゴーレムを…メアリーをよく理解できている。
俺も夜天羅も体力はまだまだある、つまりどうやって救うかを悩む事ができる。
「とはいえ…解決策は一つだろうな。」
解答は決まっている、同時に倒すしかない。しかしそれをするには物理的に一人足りない。
「うおっ!?」
二体同時に振り下ろされたチェーンソー、それを刀で受け止めるが流石に同時だと衝撃が凄まじい。
一瞬、押されかけるも踏ん張りを効かせて耐えて二体の攻撃を抑えた。
「お前様!」
「夜天羅!?」
森から支援をしてくれていた夜天羅が俺の隣に現れた、急な事に驚きを隠せない。
「ドロシーの事はアヤとレーヴァテインに任せてきたのじゃ。」
「そうなのか…でもどうして──いや、なるほど。」
「うむ!お前様が思っておる通りじゃ」
夜天羅は生物への攻撃は御法度。
これは神になるという試練のせいでそうなっている。
まぁ…これは地球での話でこの世界で有効かは怪しいが一応守っていた。
だが、目の前のゴーレムは生物ではない。
搭乗しているメアリーさえ傷つけなければ問題はない、だから夜天羅は弓から鞭に武器を変えて前線に来た。
「…ディープホワイト以来だな。」
「じゃな!お前様、あの子たちを救ってやるのじゃ。」
「あぁ!」
背を任せる相手としてこれ以上ないほど信頼ができる、俺は刀を構え直しクラレントを見据える。
「夜天羅…同時にだ。」
「うむ!任せるのじゃ!」
最低限の意思疎通で通じ合える、戦いの最中だというのに心地よさを感じてしまう。
援護をしてくれていた時とはまた違う心強さに気合いが入る。
エミリーの時の様に救えなくなるのはもうごめんだ…彼女たちは必ず助ける。
俺と夜天羅は動き出しクラレントとの距離を詰めてゆく。
クラレントたちの銃口がこちらへ向き火を吹く寸前、しかし弾丸が発射される事はなかった。
夜天羅が鞭でクラレント01のライフルの銃身を絡めさらにそれを大きく振りクラレント02へとぶつける。
直後に俺はクラレントたちへ急接近、クラレント01の機体を踏み台に飛び上がり力を込め刀を全力で振るう。
クラレント二体のライフルを斬り落とし破壊、まずは面倒なメイン武器を奪う。
あとは罰光や両手のブレード…まさか武装としてはこれだけとは思いもしなかった。
カトレアがあれだけ自慢するからには隠し球があると踏んでいたが実際は基礎能力の最適化だ。




