余談「妖霊事件」20
「なぜ……過去を知っている!一編たりとも残した覚えはないですよ。」
「ま、そうやな。確かに管理機構やその前の陰陽寮の記録なんかも綺麗さっぱりや!」
「なら…なぜだ!!」
「……なぁ来空って知っとるか?」
「!?」
「おっ。知っとるか、縁継くんな来空の祖先や。」
「は?」
「その来空の記録簿にお前と戦った時の話や過去が残っとったで。」
「ありえない!?」
「それがあり得んねん、なんせ来空は千里眼保持者や。」
「ば、バカな…私は!最初から詰んでいたのか!?」
明らかな動揺、千里眼で見られていたら対策のしようがない、もし比良坂が妖界へ引きこもるならそれでよし…しかし被害をもたらすなら過去から幾らでも対策される。
「まぁ…なんや、お前の過去は同情するがな。
もうそれだけで終わらせるには罪を重ね過ぎや、どうしようもあらへん。」
「クハ…ハハ……ハハハハハハハハッ!!!」
「………」
自身の敗北を確信してしまったが故の狂乱の笑い…こういう奴の自暴自棄は末恐ろしい。
本当に何をするかわからない。
「ハハハハ……私の五百年は!?怨恨は!?許せない!許せるはずがない!私欲で私の全てを奪ったくせに!?私が奪う側は許されないのか!!」
「……そうはゆうがな、無差別に奪ったらあかんわ。」
俺はタバコを取り出して火をつけた。一吸いして息を吐く、白い煙が宙を舞う。
「構うものか!!生が憎い!!なぜ───ッ!?」
ガァン!!
刀が比良坂を襲う、それは俺の刀ではない。
長い刀身が踊る様に舞う流麗な剣捌き。
「お待たせしました!」
「早いな!一服中や。」
刀の主は縁継くん。
予定の十分よりも少し早い到着、そして…空から俺の後ろに着地したのは吉田だ。
これで全てが揃った…ここから決着までは早いだろう。




