第八十三録:機兵 四節「バトルスピード」
「…そうだよな、それが最適だよな。」
通信で連携にしては行動があまりに早い、ラグがなさすぎる。
AIが四体全て動かしているならまだ納得がいくが、夜天羅はクラレントを探知していた。つまりは何かしら生きている奴が乗っているという事実。
カトレアという人物の所業を考えると…最悪、機体に脳だけが組み込まれているかもしれない。
…少し前に戦ったあの人型の化け物が似た様な感じではあった。
そんな倫理観を捨て去ったマッドサイエンティストが作り上げた至高の機体、改めて警戒を高め刀を握り込む。
クラレントの銃口は俺から離れない、射程範囲に入るのを今か今かと待ちくたびれている。
ガガガガッ!!
劈く様な耳障りな鉄の悲鳴と火薬が爆ぜる破裂音が共鳴し鳴り響く。
矢の着弾と射程に入った俺への発砲が同時に起こったが故の喧雑とした状況。
弾丸の雨を弾きながら前進を強行、多少の防ぎ漏れはあるが問題ない量に収まっている。
目前にクラレントが迫るその直前。
「っ!?」
飛来する鉄の壁…クラレントの盾が行手を塞ぎ立ちはだかる。
俺は盾持ちの方へと視線を向けるも依然として夜天羅の矢を防ぐ事に専念している。
となれば…これは俺が吹き飛ばした物、その証拠に盾に矢を弾いた時の傷がついている。
どういう原理かはしらないが元の持ち主へと帰ってきらしい、だから────
「切り伏せる!」
戻ってきたのなら盾としての機能を果たせなくするほかないだろう、俺たちにとっては邪魔な事この上ない。
刀を腰の高さに水平に構え、最大限に力の連動を活かして思いっきり振り抜く。
「らぁっ!!」
盾に刃が滑る様に入っていく、赤熱した断面を火花が爆ぜてゆく、そして…盾は両断された。
「いっ!?」
盾を両断して視界に入ってきたのは鋭い剣先、俺は咄嗟に身を躱して難を逃れながらも刀を振り上げ比較的に脆い肘関節へ振り下ろす。
見事にクリーンヒットし間接に綻びが生じて動きが鈍くなる、更なる追撃でダメージを与えようとするが…
「っ!うお!?」
ライフルの下部からチェーンソーが展開、高速回転する無数の刃が俺へと迫り来る。
刀で受けるが凄まじい振動が腕に伝わってきた…流石に頑丈に作られている、この刀と鍔迫り合いができるほどに。
俺はチェーンソーを上手く逸らしてクラレントの頭部へと距離を詰める。
「コイツ!?」
頭部に備えられていたのは内蔵型の銃、さらに驚いたのはその弾丸。
神聖防御が施されており強化されていた。
中々、思い通りに進めずもどかしいが…相変わらず次の行動が早い、こうも早いと厄介。
俺たちが攻めている様でそうでない、このままではいずれ攻守が逆転しその対応の早さで追い詰められかねない。




