第八十三録:機兵 三節「一進一退」
ヒュン……
駆ける俺の両脇を追い越しクラレントへと向かうのは音速を超えた鉄の矢。それは正確無比にライフルに直撃。
よろめくクラレントたちだがその隙はほんの一瞬、俺は盾のないクラレントに接近し上段に振り上げた刀を振り下ろす。
キィン!!
「…っ!浅い!!」
味方が後退した瞬間、もう一体のクラレントがライフルを連射。
「ふっ!!」
刀で弾き切り伏せて凌ぐ、解魔ノ瞳を全開放していればなんて事無いんだがな…今の状態だとダメージはあまり無いが衝撃を逃しきれず動きが後手に回る。
ライフルを持つ右腕の関節を狙ったが、俺の狙いを理解したのかクラレントは後ろに下がり装甲を少し傷つけただけ。
…いや、それもおかしい。
避けられたとはいえもっと斬れていてもいいはずだが実際は擦り傷……もしや────
「神聖防御か。」
それに当たり前の様に自己修復までしやがる。
ま、当然と言えば当然か…カトレアはクラレントをレーヴァテインを凌ぐを豪語した。
となれば悪魔は乗っていない、やはりAIか?
まぁ、なんにしろ核を破壊するのが手っ取り早いが、他にもレーヴァテインやグングニルにはない機能…十中八九、奥の手がある。
レーヴァテインにロスト・レクイエムがグングニルに罪光と強力な武装が内蔵されていた、それに──
「いや…考えても仕方がないか。」
"うーむ…一筋縄ではいかんのう"
「だな、このまま援護頼む!」
"任せるのじゃ!!"
猛然と大地を駆け、クラレントとの距離を詰めてゆく、奴らは俺がライフルの威力を損なわない有効射程範囲に入るのを待っている。
「手本みたいな動き方だな!」
"お前様!鉄の雨を降らせてやるじゃ!"
「了解!」
射程範囲に入る直前、森から放物線を描きながら飛来するは鉄の矢…だが問題はその量。
何十…いやもしかしたら三桁に及ぶ矢がクラレントへと向かう。
恐ろしいのが無造作ではなく全てが正確に狙われておりクラレントが取るであろう行動を予測して放たれた矢。
幾ら神聖防御とはいえどあの量をまともに受ければ満足に動けない。
クラレント二機は盾持ちが真正面から盾を構え防御に徹しもう一体はライフルで俺を狙うことに集中と、この場における最善を瞬時に判断、行動に移した。




