第八十二録:白色の不穏 二節「正面突破」
「……よし」
「私の魔力も万全です。」
戦いから一夜明けた、外で身体を軽く動かす…体調は万全。
ザディルさんの魔力も回復し俺たちはユダ遺跡に攻め込むに相応しいコンディション。
この無人島からユダ遺跡までは目と鼻の先、飛龍のスピードなら一時間くらいで到着するが…レーヴァテインの最大速度ならその半分で到着。
「では…作戦通りに。」
「はい、ザディルも。」
俺たちは短いやり取りを済ませてレーヴァテインと飛龍に乗り別行動へ。
作戦は至ってシンプル。俺が正面突破をしザディルさんは魔剣を発動、200パーセントのダインスレイヴをユダ遺跡へぶつける。
その為には遺跡を覆っている"ハレルヤ・ゴスペル"をどうにかする必要がある。
解魔ノ瞳を持つ俺は無条件で侵入ができる、単身侵入後に"ハレルヤ・ゴスペル"を内部から破壊する。
ザディルさん曰くユダ遺跡の中は神の痕跡が主に使われているだろうと予想、俺ではどうにもできないが、しかし…"適任"がいる。
「お前様!遺跡が見えてきたのじゃ!」
「すっごーい!真っ白!!」
「いかにもな感じだな。」
敵の本拠地、ユダ遺跡。
その全容が姿を表す、汚れを知らないほどに白い宮殿。
派手な装飾は一切ない、ただ白く異様なほど均一な表面をしている。
「流石に動きが出てきた。」
「わー!なんか来た!!」
「あれは昨日わしが戦った小型の奴らじゃ!」
白い宮殿から大群で現れる小型の飛行型ゴーレム…数は百や二百ではきかない。
「よし…ドロシー!飛ばせ!!」
「!!やったー!!!いっくよー!!」
俺はレーヴァテインにしっかりと掴まり夜天羅はドロシーを抱えつつ自身も固定。
瞬間、空を切り裂き音を置き去りしたレーヴァテインが衝撃波を発生させながら群勢に突っ込む、レーヴァテインは羽虫を払うが如く蹴散らしていき群勢の真ん中へと風穴を開けた。
「お前様!今じゃ!」
夜天羅の合図を聞きレーヴァテインから飛び降りスピードを乗せてユダ遺跡へ突っ込む。
"ハレルヤ・ゴスペル"は難なく突破、抜刀しその傷ひとつない壁へと全力で斬りかかる…神聖防御はなくすんなりと刃が通り神殿内部へと侵入。
予想通り、内部の装いは外観とは大いに違ってSFチックで近未来的な内装だった。
「……第一関門は突破、あとは─────」
ビーッ!ビーッ!
侵入者を知らせる警報が耳をつんざく。
俺が今いる場所は廊下…となれば予想ができるのは──────
「来たか。」
バタバタとうるさく足音が響き姿を現したのは兵士、鎧を着込み悪魔かどうかわからないが…恐らくは悪魔だろう。
神聖防御がない理由も兵士などが悪魔やそれに類する者だからだ、でなければ神聖防御を使いこの遺跡はもっと堅牢だ。
「構ってる暇はない。」
最速で悪魔たちへと接近。
俺に反応できていないところを見るに下級の兵士と安易に想像がつく。
刀を強く握り下半身で作り出した力を最適な動きで伝播、そして…水平の横薙ぎを繰り出した。




