余談「妖霊事件」14
「此奴は比良坂家を根城にしとるじゃろう。」
「比良坂家…コトリバコで滅ぼされた?」
「うむ、蘇生儀式や大掛かりな術などをするならそこが一番適しておるのじゃ。」
「呪いで汚染された土地だから…か?」
「それもあるがこの場所は龍脈じゃ、術の威力を何倍にも増幅してくれるのじゃ
確かに…誰も近寄れないそして術の底上げ、比良坂にはこれ以上ない最適な場所だろう。
しかし…人質の神威持ちはどうなる?
「いや…人質はどうなるんだ?コトリバコの餌食じゃないのか?」
「それも大丈夫じゃ呪いの原則として呪いに込められた妖力以上の妖力には呪いは効かん。つまりじゃ、龍脈の中心地に居れば問題はないのじゃ。」
「なるほど…そこまで行けさえすれば他からの侵入は難しいわけか。」
「神隠し童じゃったか?恐らく全ての事象に適応できるかものう。」
「比良坂に取って都合が良すぎるな…」
「だからこの時代に動いたのかもしれんのう」
自分の有利な状況まで暗躍し今がベストと判断して派手に動いているのか。
「はよう…解決せんと犠牲者が増えるのじゃ。」
「比良坂は人を平気で殺すからな…」
「それもあるが汚染された魂の件じゃ、あれは洒落にならんのじゃ。」
コトリバコの件か…いや、待てよ。
"コトリバコは強制的に魂を喰い潰し消滅させるのじゃ"
夜天羅はそう言った…ならどうやって魂の消滅を食い止めている?答えは簡単だ。
「…人を餌にしているのか。」
「呪殺師、妖術師が一番狙われてしまうが…一般人でも容赦がない奴じゃ」
…あの呪殺師が自害した理由がなんとなく予想できてしまう、比良坂に騙されたもしくは妖術や呪殺術で洗脳させられた…。
「っ…早く捕まえないとな。」
「お前様の気持ちはよくわかるが今日はゆっくり休むべきじゃ。」
夜天羅は優しく俺を抱きしめてくれた、おかげで浮き足立つ不安が収まってゆく。
焦る気持ちで鈍っていた思考がクリアになっていき冷静になる。
「ありがとう。」
「うむ!」
それから…平日ではあるものの俺は書院に留まり夜天羅と一緒に過ごした。
────翌日。
学校を終えて俺は妖霊管理機構の事務所へ直行、青鐘寺さんと執務室で落ち合う。
「おー、縁継くん。今日はどうしたんや?」
「忙しいのに無理言ってすみません。」
「ええよええよ!そんなん気にせんでもええ。」
「青鐘寺さんたちって…比良坂をどこまでご存知ですか?」
「どこまでか…実の所な、過去はようわかってないねん。うちのむかーしの資料を漁ってもなくてなぁ」
青鐘寺さん困った様な表情を浮かべながら懐からタバコを取り出して吸い始めた。
「実はですね────」
俺は夜天羅に聞いた話などをまとめた数枚の紙を取り出して青鐘寺さんへと手渡した。
資料に目を通しすと青鐘寺さんの表情がすぐに真剣ななものになり読み込んでいく。
「……お手柄や、縁継くん。」
「役に立って良かったです。」
「比良坂の事がこれだけ分かれば対策が打てる、ありがとうな。」
「これも夜天羅とご先祖のおかげです。」
俺一人ではなにも知ることは出来なかった…だがこれからは俺の力が役立つ。
「しっかし…まさか特例呪殺術でも最悪中の最悪、コトリバコとはなぁ…頭痛なるわ。」
「青鐘寺さん、その県なんですが──」
俺は青鐘寺さんへ考えを伝える。
其れを聞いた青鐘寺さんの表情は葛藤だった。
「……確かにそれが最善かもしれんが縁継くんを危険に晒すのはちょっとなぁ」
「両親の事は心配ありません、了承を得ています。」
「君なぁ…用意が早すぎるやろ。」
眉間を抑えてそう呟く青鐘寺さん…最後にタバコをひと吸いして灰皿で火を消す。
「わかった!やろか、これが成功すれば最悪俺一人で比良坂を潰せるからな。」
「ありがとうございます。」
俺の提案が通った…これで近いうちに比良坂と決着をつけることになった。




