第八十一録:逢魔 五節「忌者」
「……ハァー……」
立ち上がり息を吐く悪魔。
その見た目はガーゴイルに近い、灰色の肌に屈強な肉体、背には蝙蝠を模した羽根。
異様だが…特に異様なのが顔だろう、ヤギの様なツノに骸骨に覆われた顔。
「……」
「……」
俺たちに緊張が走る、強い…今の俺とザディルさんで勝てるか微妙なライン。
現状で力を合わせて二人で一人前と言った所だ。
いや…一つ優位を取れるかもしれない武器がある、俺はそれをザディルさんへと耳打ちをして知らせる。
「……了解です、それに賭けましょう。」
「よろしくお願いします。」
作戦が決定し互いに動き始め俺は前線でいつも通りに刀を振るう。
こちらの動きにガーゴイルが反応、視線が合う。
ガン!!
鉄や石をの様な鉱物を叩く硬い感触が刀から腕に伝わってきた。
硬い…デカい岩を殴っているみたいだ、ギリギリと鍔迫り合いをし次の行動を牽制。
読めない…コイツの行動が読めない、不気味な雰囲気を纏い感情を一切見せない。
「おお!!」
俺は雄叫びを上げ全力で刀を交える。
激しい剣戟を変わらずの無表情で捌いていくガーゴイル。
強い…アスタロトとアスモデウス二人分の強さと考えれば妥当と言えば妥当だろう。
しかし弱点はあるそれは感情がない事、機械の様にしか動かない…臨機応変が効かない。
そこに付け入る隙がある。
ひたすらに刀を振るいガーゴイルの行動を潰して動きを封じる。
さて…この状況でコイツはどうする?どう動く?
「っ!!うっお!?」
魔術をノーモーションで放たれる、ギリギリの所で刀で受けるが吹き飛ばされてしまう。
「ぐっ!クソ!!初動なしとか反則だろ!」
なんとかそこまで飛ばされずに地面へと着地、前を向くと────
「っ!!」
前を向いた瞬間、目の前にガーゴイルが武器である腕を振り上げていた。
背筋に冷たいものが走る、死を明確に連想する。
「……ダインスレイヴ起動。」
ザディルさんの声が聞こえてくる、魔力の高まりを感じたガーゴイルは即座にザディルさんへと標的を変える。
………俺とザディルさんはこの隙を狙っていた、至近距離で尚且つ標的が変わる瞬間を。
ジャラ……左手に出現させた鎖を握り俺はガーゴイルへと巻きつける。
これは"断獄の鎖"その効果は地獄由来のものへの特攻、この場においての最高の切り札。
「!?」
ガーゴイルの表情が初めて変わり感情を露わにした、捕えられた事、拘束を抜け出せない事。
それがガーゴイルを混乱させる。
「終わりだ…アスタロトの方が何倍も強かったぜ。」
ゼロ距離。
ザディルさんが残した魔力その最後のダインスレイヴが炸裂、容赦なく無慈悲にガーゴイルの心臓を抉り貫く。




