第八十一録:逢魔 二節「刹那の致命」
────「まさか…負けたのか……アスタロト…?」
私との戦闘中にも関わらず呆然とするアスモデウス、こんな好機を逃しはしない。
「しまっ…ガァッ!!!」
接近、ファフニールで左手を切り落とす…そこからは一方的な蹂躙。
私のファフニールを抑えるだけならまだ耐えることができただろう…しかしファフニールの真価は魔剣化。
操剣している9本全てが魔剣と化しさらに強化魔術の底上げ、それら全てが襲いかかってくる。
いわば10人の手練れが完璧な連携を駆使しているようなものだ、一度崩れてしまえばあとはそのまま瓦解していくだけ。
「な、舐めるなぁッ!!!」
血塗れのアスモデウスが咆哮と共に魔術を炸裂、回避を余儀なくされ距離を取る。
「危ないですね。」
「ハァ…ハァッ!」
息も絶え絶えでもうあとひと押しで死んでしまいそうなアスモデウス。
敵ながら凄いと純粋に思ってしまう、あの斬撃の嵐を生き延びた…すさまじい生命力だ。
しかし、私の勝利は揺るがない。
「申し訳ありませんが…決めさせて貰いますよ。」
「ハァッ!人間…風情がッ!!」
右手でノコギリを構えたアスモデウス…気迫は衰えず圧を感じさせる。
勝利を確信しているが…私に油断はない、例え死にかけだろうと全力を持って息の根を止める。
「では…行きますよ。」
剣を走らせながら同時に私も接近、アスモデウスにファフニールを振るう。
「ッ!!」
私の斬撃は致命傷のみを防ぎあとは無視…なんとも覚悟が決まっている、最初の気だるげな様子からは考えられない。
だが────
「おしまいです。」
「ほざけ!たわ─────」
瞬間、アスモデウスの言葉は遮られる…私が放ったダインスレイヴにより腹に穴が開く。
「カハッ!タメが要らないのか…」
「やはりダインスレイヴを知っていましたか…魔剣を発動した私ならタメは必要ありませんよ。」
アスモデウスがこの技を知っているという事はあのデュラハン戦を監視していたもしくは教会からの情報提供か…。
「……ハァ…仕方が…ないな。」
腹を抑えバタリと倒れるアスモデウス…地面には血が広がっていき赤に染め上げてゆく。
決着。
私も…そしてヨリツグさんも勝利したが。
「力を使いすぎましたね…」
かなり全力で戦ってしまった、もしまたこのレベルの敵に襲われたら撤退せざる得ない。
せれほどアスモデウスは強かった…あの動揺がなければ戦闘はもっと長引いていただろう。




