余談「妖霊事件」12
「それをまとめた物がこの本か。」
「来空やつは尼僧であり妖術師だったからのう…呪殺師を捕える仕事もしていたのじゃ。」
「なるほど」
だから名簿があるわけか…それにしても危険な仕事だろうに殺したりせず捕えるに留めているのは流石尼僧と言わざる得ない。
「じゃあ…夜天羅、音読を頼む。」
「任せるのじゃ。」
夜天羅は本をパラパラとめくっていき比良坂のページを探す。
どんな情報が出てくるか、物によっては青鐘寺さんたちは知っている情報かもしれない…有益な情報が出てくるのを願う。
「お、あったのじゃ」
比良坂 能累。
歳は二十七、妖術師の名門である比良坂家の長子として誕生。
その名門に違わぬ類稀な妖術の天才で妖術師界を牽引する存在として名を馳せていた。
しかし…呪殺師により一族と許嫁を呪いにより滅亡させられる。
犯人が妖術師界と知り以後は行方不明に。
「これが比良坂 能累の概要じゃ。」
「かなり悲惨だな…。」
概要でこれか…しかしどれだけ悲しい過去があろうとあの行いや過去の行いを許す気はさらさらない。
「えぐいのう…コトリバコを使うとは狂っとるのじゃ。」
「コトリバコ!?」
「おや?お前様は知っておるのかの?」
「知っている…というかネットとかではかなり有名な怖い話だ。」
まさか…実在した上にそんな強力な呪いとはな、話通りじゃないか。
「ほう!」
夜天羅は驚きつつスマホで検索をしてその話を軽く読んでいく。
「あー…なるほどのう、この作り方と効果自体は嘘じゃ」
「そ、そうなのか?」
「本物はもっと凄惨な作り方じゃし効果もこんなもんでは済まんのじゃ。」
本物はこれ以上か…それなら天才妖術師の家系が滅ぼされるのも無理はない。
「では続きを読むかの…来空が比良坂と出会った話じゃ」
「頼む。」
来空さんは比良坂に出会っていたのか…仕事として捕らえに行ったのだろうな。
私は比良坂を捕えるべく彼を探し出しそして発見した…そこは滅ぼされ廃墟と化した比良坂邸。
コトリバコの呪いが蔓延する中で彼はもはや人でも霊でもないナニカに成り果てていた。
黄泉へ送る…それ以外にないと判断した私は彼を戦ったが…結果は比良坂の逃走。
私たち人では立ち入れない妖界へ姿を消した…一つ、気になるのは彼が言っていた事。
"必ず…黄泉還りを果たしてあげるんだ。"




