余談「妖霊事件」11
「あぁ!!思い出したのじゃ!!」
「お?」
「比良坂 能累…来空が嘆いておったのじゃ」
「嘆いていた?」
「うむ!才能溢れる妖術使いで有名だったらしいが…とある不幸を境に変わってしまったと言っておったのう。」
「不幸か…」
恐らくその不幸が比良坂のやつが歪んだ思想を持つ原因なのだろう。
「その内容がわかればなぁ…」
「わしも内容までは聞いとらんのじゃ」
だよな…わざわざ詳しく夜天羅に話す内容じゃないのはわかる。
来空さんも世間話程度で話をしたんだろう。
「いや…倉庫を漁ればなんか見つかる…か?」
「おお!それはあるかもしれんのう、来空は書物を書くことが多かったのじゃ。」
「そうとくれば!ちょっと見てくる…けどビデオ通話繋げながらにしよう。」
「ほ?わざわざ電話しながらかの?」
「恥ずかしい話…俺は古語が読めないから夜天羅にお願いしたい。」
「なるほどのう!了解じゃ!」
書院から離れて実家である庫裏から少し離れた場所にある倉庫へと足を踏み入れた。
二階建ての倉庫で一階には普段は使わない物から寺の催し物で使う物などが保管されている。
そして二階にはこの寺やウチの祖先が残した物を大切に保管している場所だ。
俺は二階へ上がり目的の書物があるかを漁る。
「それっぽいのばっかりでわからん…」
正直言ってどれも同じに見えてくる、古語がわからないので年代の特定も難しい。
"それはわしの時代より後のやつじゃ…そっちも違うのじゃ"
とりあえずは手当たり次第にビデオ通話越しに夜天羅へと見せてみる。
そんな流れ作業をしていると───
"お!それじゃ!"
「当たりか。他はなさそうな感じか?」
"うむ、恐らくじゃがな!"
「よし、じゃあすぐにそっち行く」
夜天羅とのビデオ通話を終え本を持ち出してすぐに書院へと向かう。
「お前様、おかえりなのじゃ。」
にゃあん
「あぁ…ただいま。」
出迎えてくれた夜天羅とコイスケと共に居間に戻り目的の書物を取り出す。
「しっかし…本当にあったな、これなんて書いてるんだ?」
「これは…呪殺師の名簿じゃ。依頼書や手配書と言ってもよいのう。」




