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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第一章:旅立ち
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第九録:騎士と枢機卿 二節「こちらの日常」

オオザキ殿とシガ殿は配置につき正面に数メートル離れた私と対峙する。

オオザキ殿はロングソードの木剣,シガ殿はハルバードの木槍。

構える二人、私の手の武器は木剣

愛用の剣より二回りは小さい武器、ハンデにはちょうど良い。


「…私はいつでもよいですよ」

軽く木剣を振りながら告げる。

普段、扱いなれない剣の感触を確かめる

軽く、まるで枯れ木でも振るっているようだ。


「じゃあ…いきます!」

最初に距離を詰めてきたのはオオザキ殿。良い踏み込みだ。

初撃は右斜からの切り払い、鋭く重いそれは一般兵ならやらている。

私は斬撃を真正面から剣で受ける。

そして死角から貫かれる槍の第二撃を避ける

音もなく忍び寄っていたシガ殿。


「良いコンビネーションです」

「っ!!」

完璧な死角から避けられた事に驚愕をする

しかし驚いたが瞬時に槍を回転させ

私の首目掛けてハルバードの斧部分が襲う。

同時にロングソードが胴体に横水平に切りかかってくる。


私は剣を振い同時に弾く、弾かれた二人は仰け反ってしまうが

オオザキ殿はその反動をいかしてさらに斬撃を繰り出す、だが私には届かない

シガ殿も負けじと攻撃を繰り出す

「ま、まだまだ!」

「その調子です」

──そんな訓練が数十分続いた。


「ハァ…ハァ…」

「な、何なよ…」

激しい攻防を続けていた二人は膝に手をつき多量の汗をかいていた。

流石に体力の限界だろう。

「…なんでアンタは汗一つかいてないのよ」

「一回も当たらなかった!」

「ハハハ!私はこの国最強ですからね!」

曲がりなりにも国を背負っている、訓練とはいえ負けられない。

…しかしこの二人がギフトを使えば私とて手加減はできない

それほどに強力なギフト、だからこそギフトに頼り切らない自力が必要

二人の成長が楽しみだ。


「では…訓練頑張ってください、私はもうすぐ職務があるのでこれで失礼します」

「あ、はい!ありがとうございます!」

私は二人に断りを入れて訓練所を後にした

陽が差す城の廊下を1人で歩く、私のカツカツと足音だけが反響していた。

すると前の曲がり角から足音が聞こえる

姿を現したのは─


「アルメリア枢機卿!」

「アルレッド騎士、ごきげんよう。」

この城に派遣されているリフロディア教会の枢機卿。

城で礼拝や祝祭を行う際に司祭を務め、城の礼拝堂の責任者でもある。


「では、失礼します」

「ア、アルメリア枢機卿」

私の横を通り去って行こうとする彼女を呼び止めとしまった。

振り返った彼女と目が合う

声を掛けたかはいいが何を言えばよいのだろうか?

思考を働かせて言葉を探す、しかしどれだけ考えても言葉が見つからない。

「無理を…していませんか?」


口から出たのは憂慮の言葉。

私の言葉に彼女は冷ややかな視線を向ける

しかしすぐに視線を外した。

「ご心配なく、国王様からお叱りは受けましたが

 私が短慮だったのも事実ですから」

彼女はおそらく異邦の儀の出来事に対してだと思っている

そんなアルメリアからの返答は淡白なものだった。


違う….俺が言っているのはそうではない

もっと深い部分、アルメリアがこうなってしまったトラウマ(心の傷)

だが…私がそれに触れる事を彼女は決して許さないだろう。

「アリ─

「では、失礼します」

これ以上、話す気はないと言わんばりに

私の言葉を遮り強引に会話を終わらせる

背を向けた彼女に私は最後に言葉を掛けた


「アルメリア枢機卿、ヨリツグ殿達が気になるなら

 ヒューサス・エルサスのカルステ一家の仕立て屋に

 向かうといいでしょう、私が言ったことがわかると思います」

私はヨリツグ殿に身分証を渡した後、すぐには帰らず色々と調べていた。

彼女に伝えてもヨリツグ殿はすでに村を去った後だ。

確かに教会は怪しい…

しかし教会とて一枚岩ではない、この些細な情報でどう出るか…


「………」

返事はない、私の言葉を聞き届けたあと彼女は静かに去っていく。

私は…彼女を黙って見送るしかできない。

しかし確信がある、アルメリアは必ずカルステ一家を訪ねる。

彼女は枢機卿として魔族のヤテンラ殿を真に敵かどうか見定めないといけない。

私は…事実を知ったアルメリアの心に良い変化がある事を願う。

去ってゆく彼女の背中が見えなくなる、踵を返して私は職務へと向かう。


──近衛騎士団執務室。

ここは私が束ねる近衛騎士団"白金の獅子"の

兵舎、近衛騎士のみで構成された所謂、精鋭。

この国ね最高戦力が集う場所。

今日は近衛騎士での会議があるのだが…


「隊長!お疲れ様です!」

私の教室に気がついてすぐさま敬礼をしてくれた

青髪の青年、歳は私より低く最年少で

近衛騎士に抜擢された有望な人材だ。

「あぁロッカおつかれ、今日は何人集まれそう?」

「僕と…ライラさん、リブラーさん

 あとはゼルナ副団長は参加と聞いています!」

「ありがと、ライラが参加とは珍しいね」

今、ロッカが羅列したメンバーで半分。

近衛騎士団のメンバーは全員で10人、半分参加できただけでも御の字だ。

基本的に強者が近衛騎士の条件、だが…強い者は一癖も二癖もある者ばかり。

束ねる身も大変だ、今は団長の座を譲ってくださった

ゼルナ副団長はやっと肩の荷が降りたと清々しいほどの笑顔をするほど。


その中の問題児の1人が女性騎士ライラ

実力は言わずもがな、しかし怠惰がすぎる。

隙あらばいなくなってサボる。

「はい!秘密をバラすと言えば快く快諾してくれました!!」

……ロッカも良い後輩であるのは確かではあるし関係は

良好なのは間違いないがたまに手段を選ばない時がある。


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