余談「妖霊事件」10
「……わかりました、民間人は全て解放しましょう。取引成立です。」
比良坂は両手をあげて白旗を上げる。
その仕草と同時にこの場にいる一般人は意識を失った。
「おっと」
ナイフを向け合っていた二人も糸が切れたかの様に倒れ込む、地面にぶつからないようにして支えて地面へと寝かせた。
「貴方は…本当に嫌らしい方ですね。」
「なんや、まだおったんかいはよ去ねや。」
「………いずれ…また…」
青鐘寺さんは興味なさそうにあしらうと比良坂は蜃気楼の様に消えた。
「助かりました…俺じゃあこの人たちを救えませんでした。」
「まーしゃあない、縁継くんの性格を考えた上の作戦で狙い撃ちや。」
「でも…悔しいですね、力じゃ勝てるのに。」
「あー…その気持ちよう分かるわ。」
タバコの煙を上えと逃す青鐘寺さんの顔は比良坂を思い浮かべてか心底嫌そうな表情をしていた。
「ま、何はともあれ!全員無事なんを喜ぼうや!」
「はい!」
その後は妖霊管理機構の人々が応援に駆けつけてきてくれて事態は無事に収束。
一般人の人たちも妖術での治療で傷跡や後遺症はなし、俺も一応検査されたがこれも問題なしで普通に家へ返された。
───「えらい目に遭ったんじゃのう…」
自宅に帰り夜天羅に事の経緯を説明した、慰めてくれているのかいつもより距離が近く手つきが優しい。
「…俺だけが何も関与できないってのも嫌なもんだな。」
「解魔ノ瞳はお前様にだけ作用するからのう…こればっかりは仕方がないのじゃ。」
「なぁ…夜天羅、あの呪いを俺へと転嫁する札を作ってくれないか?」
「作るのは良いが…わしは不特定多数に使い過ぎるのはいかんからな、信用はしとるが許容を超えん様にするんじゃ。」
「肝に銘じる。」
「ならよいのじゃ。」
夜天羅は俺の提案に一応の納得はしてくれて札を作ることを了承してくれた。
「……うーむ、比良坂…比良坂のう……」
「どうした?」
「いやぁ…昔に来空のやつからそんな奴の名を聞いた覚えがあるんじゃ。」




