第七十九録:落差 一節「アスモデウス」
────「ハァ…面倒だ。」
私と対峙する青い悪魔が心底嫌そうに面倒そうに呟き俯く…4人の従兵に囲まれて動く気配はない。
「なら逃げてはどうですか?」
「ハァ…それが出来れば苦労はない、我らはカトレアの実験体だ。」
「無様ですね、地獄に篭っていたらよかったのでは?」
「………事情があるんだ、事情がな…ハァ、まぁ…実験体第六号、元アスモデウス貴様を…まぁ…殺す。」
アスモデウスが構えると周りの従兵は突撃の構えを取る…どうやら私に総攻撃を仕掛けるつもりだ。
「浅はか。」
「かもなぁ」
その一言の後に従兵は守りを固めながら進撃、対して私は剣を操り迎え撃つ。
ドサ…従兵が前のめりに倒れる、まずは一体を仕留めたが依然として進撃は継続。
仲間が倒れたというのに怯む気配はなく前進を続けている。
「…なるほど、仲間とすら思っていないのか。」
確かに彼らは統率が取れている、いや異常なほど統率されている。
最初の捨て身の特攻から薄々そうじゃないかと感じてはいたが…アスモデウスにとって彼らは部下じゃない、ただの便利な肉壁。
なら…奴の行動は─────
ガァンッ!!私が手に持つ魔剣とアスモデウスのノコギリがぶつかる。
「あ〜?気づかれたのか?……ハァ…面倒だなぁ、無駄死にじゃないか。」
「…随分といい趣味をしていますね。」
皮肉と嫌悪を込めて私はアスモデウスに言葉を投げつけてて睨む。
奴は従兵を突進させ自身は動かずにノコギリに着いた鎖を振り回し従兵ごと斬りかかってきた。
「あー…ちゃんとやらなきゃじゃないか……」
鎖を引っ張り武器を自身へと戻し付着した血を地面へと払う、大地が赤く染まる…。
従兵は全員が死亡、今の攻撃で私を殺すつもりだったんだろう。
だからこそこんな大胆な作戦を実行した…私からすれば無謀で大味、雑な作戦と言わざる得ない。
「あ〜…怒られっかなぁ?」
アスモデウスはなんら気に留めていない…自分一人でも私を殺せるとそう思っているし思うだけの実力もあるだろう。
「傲慢だな。」
「そうかぁ?」
変わらずの気だるそうな態度で首を掻きこちらを見もせずに宮に向かい吐き捨てた…その瞬間────眼前に迫る鋸歯状の刃。
カァン!その刃は私に届く直前で停止、鎖を操剣の一本で釘を指す様にして止める。
「あぁ?器用な人軍だことで。」
奇襲、意識を散漫にさせる様に散々と誘導していたのはこの為か…ずる賢い奴め。




