第七十八録:前哨戦 五節「決闘。」
「!?」
「ッ…カ───」
一体、従兵の首を落とし残りは五体。
奴らは混乱している…この木々に囲まれ薄暗い森の中で俺を見失ってだ。
森は俺にとっては絶好の場所、魔道具であるウルシヴから製作された羽織は森限定で全ての音、気配、魔力が遮断される。
だから森に入った瞬間に俺はコイスケの影に入り森に紛れて一撃必殺のヒット&アウェイで奴らを倒してゆく。
重装甲だがやはり関節周りは装甲が薄い、乱戦なら狙って斬るのは至難の業だが今は一方的な狩りと言っていい。
……しかしリーダーの赤い肌をした悪魔は手下が倒されているにも関わらず落ち着き払っていて隙がなく奇襲は厳しいだろう。
「カハ…」
そうこうしているうちに二体めの従兵の首を落として倒した。
そろそろ何かしらの対策を取るかもしれないが…どうする?
俺は木の上から葉に隠れて悪魔たちを観察し様子を伺うも変わらず従兵は忙しなく辺りを警戒、赤い悪魔は何もせずただ静かにさっきを振り撒く。
「なにがしたいんだか…」
指示を出すわけでもなく何もしない赤い悪魔…まるで従兵が倒されるのを待っている様に写る。
「…どのみち倒さなきゃならないなら考えても仕方がない。」
刀の背を肩に置き担ぐ様に構え太枝を発射台にして弾丸の様に従兵へ接近、首を斬り近くにいたもう一体の首も続け様に斬り落とす。
「!?」
にゃん。
敵に気取られる前にコイスケの影へと入り再び森に潜む。
「ん?なにしてんだ?」
従兵は赤い悪魔へ抗議する仕草を見せて怒りを露わにしているのがわかる。
……不思議な事に言葉がわからない、奴らの言葉は"バベルの断片"の範囲外なのか?
ザシュ…ボトリ……
「は?」
そんな事を考えていた矢先、眼前に映る光景を疑う────従兵が倒された、赤い悪魔によってだ。
「さぁ…これで準備が整ったぞ!決闘だ!」
両手を広げて声高らかに叫ぶ赤い悪魔……な、何を言っているんだ?
サシで戦いたくて部下を見殺しにしたのか!?殺した俺が言えた義理じゃないが胸糞悪い事をする奴だ。
「何が決闘だ!」
俺はそう吐き捨てるも状況は奴の思惑通りでタチが悪いのは赤い悪魔は強者。
奇襲はできそうもない…望み通り決闘をするしかない、俺は物陰から姿を現し赤い悪魔と対面になる。
「出てきたか!我はアスタロト!いや…今は実験体第四号かな?」
「そうか、どうでもいい。」
「ハハハハハ!確かにな!さぁ…試合おうか!!」
「っ!!」
ガァン…刀とアスタロトのノコギリが衝突、火花を散らしキリキリと鍔迫り合いをする。
「やはり!良いな!人間!」




