第七十八録:前哨戦 四節「悪魔兵士」
「人…いや!悪魔…か?」
「恐らくはそうでしょう…分隊が2つですね。」
同じ装備をした大柄で見るからに堅牢そうな兵士が十人、隊長であろう装いが違う二人の男…悪魔特有のツノが生え手には身の丈ほどのノコギリ。
「やる気満々だな。」
敵と睨み合う…今まで戦ってきた奴らとはまるで違う、統率がとれた訓練された兵士。
無闇に襲って来ずにリーダーの元で一丸となり戦う…また質の違う厄介さを兼ね備えていた。
俺からすれば不慣れな戦いだがこちらにはザディルさんがいる、彼は騎士で集団戦は手慣れているだろう。
「崩しますか。」
ザディルさんは剣を全展開して敵へと狙いを定める、その動きを敏感に感じ取り敵も動き出そうとするが。
「やらせねぇよ。」
俺はリボルバーを取り出し発砲、大口径の銃弾が動きを牽制し空からは夜天羅の矢が降り注ぐ。
「魔銃ですか、渋い趣味していますね。」
「贈り物です、にしても硬い。」
銃弾は弾かれる前提…しかし本気ではないにしろ夜天羅の矢も弾かれている。
かなりいい装甲を纏っているのだろう。
「足止め感謝します。」
ザディルさんが手にした剣を敵に向けると浮遊していた剣たちが猛獣の様に襲いかかる。
「!?」
困惑、敵から動揺が感じ取れる。
それもそうだろう…ザディルさんの剣はあの堅牢な装甲へ確実にダメージを与えてゆく。
「そりゃ防御を固めるよな。」
従兵は己を顧みずに二人のリーダーを囲み守りを固めひたすらに耐える。
「ふっ!」
剣が舞う中で俺は敵へと接近し刀を振るう、ザディルさんの猛攻を耐えていることを加味して全力で振るい装甲を剥がす。
…防御に徹しており反撃がない、このままだとジリ貧で不利なことくらいは敵も理解している。
しかし硬い、俺とザディルさんが幾度も斬撃を浴びせているにも関わらずまだ一体も倒せていない。
バシュッ!!
「おお!?」
急に敵の装甲が弾けた。
その異変に俺は一度下がり様子を伺う、敵の周りを水蒸気の様な蒸気が覆い姿が隠れる。
だがそんな事は関係なくザディルの剣は舞い続ける。
「!!」
煙の中から一体の悪魔が飛び出して俺へと襲い来るが…雑な突進を交わし様にカウンターで腹をぶん殴る。
「ゴポッ…!!」
口から血を吐く悪魔。
バキバキと骨が砕け臓器が破裂する嫌な感触が拳に伝わってくる。
リーダーの悪魔ではない…恐らくあの装甲を外した奴が俺へと突進してきたのだろう。
…だが何故こんな────
「っ!?」
ガァン!!
煙の中からノコギリが飛び出し突きが俺へ飛来してくる、それを刀の腹で防御…するも勢いは殺せず悪魔と共にそのまま森の方へと押し出された。
「ヨリツグさん!」
「大丈夫です!」
ザディルさんが気にかけてくれるも返事をするのが精一杯で姿が遠くなる。
クソ…分断されてしまった、これをする為にあの悪魔は無防備にも特攻を仕掛けた。
俺はノコギリを弾き悪魔と距離を開ける…従兵と合わせて敵は六人。
「森を選んだのは悪手だぞ。」




