第七十八録:前哨戦 一節「無人島」
「なに事もなく着いたな…」
「…接触があるかと思うたがのう。」
フォルスラから急いで出発をし数日でこの無人島へと到着した。
ここはユダ遺跡と大陸の中間点に位置する。
「とりあえず降りるか、ザディルさんが待っているだろうし。」
「じゃな!」
俺はレーヴァテインを操りゆっくりと降下、開けている陸地と着地をした。
「ヨリツグさーん!ヤテンラさーん!」
俺たちの名を呼ぶ声が聞こえその方向へと視線を向けると大きく手を振るハミルトンとその少し後を歩くザディルさんが視界に映る。
「おー!ハミルトンじゃ!」
「わー!」
夜天羅は返事をする様に手を振りかえしドロシーは両手を使いブンブンと手を振る。
にゃん…にゃー?
コイスケはその声で起きて背を伸ばした。
俺たちはすぐにレーヴァテインを降りてザディルさんとハミルトンと合流した。
「お久しぶりです、ザディルさん。」
「えぇ…お久しぶりです、ヨリツグさん。」
久方ぶりの再開に握手を交わす、この二人と直接会うのはあのデュラハンと戦闘した時以来だ。
「あのぅ…ザディルさんも気にはなっていると思うんですけど…。」
ハミルトンが気まずそうに言った視線の先は────
「アヤ!アヤ!久しぶり!」
無邪気に再会を喜ぶドロシーだった……あぁそうか、まずはそっから説明しなきゃだな。
俺は二人にフォルスラのアキレウサスで何があったかの説明をした。
「つ、つまりですよ?ドロシーは身体をホムンクルスへと乗り換えもう一人のホムンクルスはフラウリン…えぇ?」
ハミルトンは俺の説明を受けて理解はしたが納得はしていない様子だった。
「魂を移したわけですね、流石は神代の技術です…それにフラウリンへと向かわせたのは正解でしょう。他の国なら大問題になった可能性が高いです。」
一方で神代関係に詳しいザディルさんはすんなりと受け入れてくれた。
「アヤ?どうしたの?」
「い、いえ、大丈夫です、よ?」
ドロシーはハミルトンを手を掴み心配そうに見上げていた。
「か、かわいい!」
「わー!」
急にスイッチが入ったのかハミルトンは屈んでドロシーを撫でたり揉みくちゃにする。
「いや〜びっくりしましたよ!ヨリツグさんとヤテンラさんに娘ができたのかと!」
「娘って…こんな短期間で無理だろ。」
「それはわかってますけど、それしか可能性が浮かんでこなかったんです!」
「子をこさえるにはまだ少し早いのう。」
少しの間ハミルトンに遊ばれたドロシーは夜天羅の陰に隠れてハミルトンを警戒した。
「あぁ!そんな…」
「お前が無茶苦茶するからだろ。」




