余談「妖霊事件」05
あの一件から数日が経過した、特に何か起こることはなかった…こちらの油断を誘っていれのか、寺の結界や夜天羅の邪気に怖気づいているのかはわからない。
青鐘寺さん曰く"なんの動きもあらへんわ"らしい。
…まぁ、何も無いに越したことはない。
「そう上手くいかないよな。」
思わず吐き捨てるように呟いてしまう。
学校帰りの薄暗い時間帯、人気の少ない…いや違うな人避けをされている。
そんな異常事態に見舞われる中で俺はすぐにメガネを取り出して装着、これで妖霊管理機構に連絡が行く。
鈍感な俺でも感じ取れてしまうほどの気配、
わざと隠さずにいる…なにがしたい?さっさと出てくればいいものを。
「………」
警戒しながら人気のない道を進んでゆく…念の為にスマホで青鐘寺さんへ連絡をしようにも圏外にされており連絡手段を断たれた。
頼みの綱はこのメガネの機能だけだ、しかし俺の解魔ノ瞳の弱点…と言っていいのか自身に害がなければ妖術の影響を受けてしまう。
全開にすれば良い悪いを関係なしに解体は出来るが…結局は俺に直接の害がなければ無理だ。
「…面倒くせぇな。」
相手の考えがわからない、わざわざ人避けし電波を遮断してまで俺を孤立させたにも関わらず襲ってこない。
考えを巡らしながら歩みを進めていく…するとおかしな光景が俺の目の前に現れた。
「やぁ…待っていたよ。」
カフェのテラス席で悠々と過ごす男…セミロングの痩せ型の男とフードを被り性別が分からない奴が三人、恐らくはこの男の護衛。
「はっ!お前らが天逆か…俺に何の用だ。」
「勧誘さ…私と共に世界を変えないか?」
人の良い笑顔を浮かべて俺へと手を差し伸べる男…それに俺は気味の悪さを感じる、背中をなぞる様な不快が笑顔の裏に感じ取れて不愉快。
「名も知らねぇ奴について行くほど馬鹿じゃないんでな、お断りだ。」
「名前かい?私は比良坂 宮司さ。天逆の指導者、君は?」
白々しく知っているにも関わらず俺の名を問うてくる比良坂…。
「断る、名を名乗る義理はない。」
「はは、手厳しいなぁ。」
あしらう様に笑いながらコーヒーに口をつける…俺を舐めているのか、仲間がいるから安心しているのかは知らないが比良坂の態度に違和感を覚える。
なぜここまで落ち着いていられるのか?
コイツらの戦力はそこまで高くはない青鐘寺さん一人に負けてしまうほどだ。
今の状況でも全員倒せなくとも逃げるだけなら俺にでも可能だ。
「あぁ…妖霊機構は来ないよ、妖術も封じているからね。」
「はっ、テロリストらしい脅しだな。」
「革命家と言ってほしいね。」
「言葉遊びしてんじゃねえよ、ただどっちにしろ人殺し集団だろ。」
殺気…フードで姿を隠しているが俺への敵意が隠しきれていない、比良坂がいなければ速攻で襲いかかっている。
「そうか…拒否の意思が強いね、ここからは君が言う様にテロリストらしく脅そうかな。」




