第七十七録:潜行 四節「繋がり」
───「あー?流石にバレたかぁ」
ユダ遺跡に存在する降魔礼讃のアジト…その執務室でめんどくさそうに呟くカトレア。
居場所がバレ、敵が迫っているにも関わらずなんの緊張感もない。
「どうしましょうか、カトレア様。」
そばに控えていた悪魔の秘書もカトレアと同様に落ち着いていた。
「とりあえずアイツら向かわせて」
「承知しました。四号、六号を向かわせます…随伴させる兵はいかがしましょうか?」
「あー…適当に肉壁になりそうなやつ付けようか。」
「ではD67式重兵を10体ほどを護衛に付けます。」
「いいね、それでいこう〜」
秘書との相談中もふざけて椅子を回して陽気で楽観的なカトレア。
「…ラボの防衛はいかがされますか?」
「ん〜?適当でいいよ、適当で。」
ヒラヒラと手を振るカトレアは椅子から立ち上がり窓に近づく。
「僕には、いや!このラボには────」
そう言うとカトレアは窓のブランドを開け放つ…そこにあるのはレーヴァテインやグングニルに似たタイプのゴーレムが格納されていた。
「…美しい、僕のヘルヘイム。奴らが来ようとも問題ない…むしろいい試運転になる。」
「承知いたしました。」
秘書はカトレアへお辞儀をして執務室を退室した…その時、彼方ノ鏡が反応し着信を知らせる。
「ん?あぁ…はいはいでますよ"魔王様"」
独り言を呟き少し億劫な態度で彼方ノ鏡を手に取り"魔王様"と通話を始める。
「なに?」
"そちらに近衛騎士と異邦者が向かっているのはわかっているな?"
「当たり前じゃん」
"…ならその異邦者には"私の力"を持つ者がいるのもか?"
「あー…例の鬼でしょ?わかってるよ殺しはしないよ、殺しはね。」
"ならいい…生かしておくならなんでもいい、捉えたら連絡をしろ"
「はいはい」
そんな素っ気なくも殺伐とした短いやり取りを終えてカトレアは通話を終えた。
彼方ノ鏡を机に放り投げて再び椅子に座る。
「ハハ…バカだねぇ、渡すわけないじゃん」
思わぬチャンスに心を踊らせて邪悪な笑みを浮かべ楽しそうにそう呟く。




