第七十七録:潜行 三節「不明瞭」
────「お前様!"目的地"までどれくらい掛かるんじゃ?」
俺の後ろに座っている夜天羅がユダ遺跡までどれくらいかを問うてくる。
「まあまあ掛かるかも、何せ島らしいからな。」
目的のユダ遺跡はこの大陸から離れた孤島…このまま北に進みつつ途中で海の方面へと方向を変えていき普通なら海路で十日、レーヴァテインの速度で二日掛けて海を渡らなきゃいけない。
ザディルさんがいくら探しても見つからないわけだ。
「そこにいるんじゃな…」
「あぁ…」
俺はチラッと後ろのドロシーを見た…色々と疲れたのか空に上がって少ししたら眠ってしまった。
夜天羅も心配そうな表情でドロシーを見ていた、俺たちの心に引っかかっているのは元凶カトレア…ドロシーにとっては両親の仇と言っていいし自身も殺されかけている。
正直な所、どんな反応をしてもおかしくはない。
「支えて…受け止めてあげなくちゃな。」
「じゃのう…」
ドロシーがどんな答えを出すかはわからない…だが悪い方向に行くなら俺たち二人で引き留めて良い方へと一緒に歩む、それがドロシーを任された俺たちの責任。
何よりもう大切な存在だ、一人っ子で育って妹の様な存在は新鮮で楽しい。
直向きなあの明るさには俺も夜天羅もコイスケも助けられている。
だから…ドロシーに害をなそうとしているカトレアを許す事はできない。
俺は決意を新たにしさらにアクセルを回して加速をさせた。
───「えぇ!?」
飛竜の上でハミルトンは驚きの声を上げる、わたしの後ろにいて表情は見えないが予想通りの顔をしているだろう。
「そ、え!?い、いいんですか?私に話して!?」
「はい、敵である降魔礼讃はもう逃げる事はできませんし…どうせ私とヨリツグの接近に気がついているでしょう。」
ハミルトンに説明したのはこれまでの経緯と…追加の吉報。降魔礼讃のボス、カトレア・ウィンストンは捕捉されている。
「以前…ソレイユさんに協力をお願いした件がカトレアを捉えましてね、もう何処へ行こうと見失いはしません。」
「そうなんですね…でも不気味ですよ!私たちの動きがわかっていて何もしないなんて!」
彼女の言う事もよくわかる、降魔礼讃は動きを見せない。
私やヨリツグさんを害として見ていないのか、それとも……
「…なにか策を弄しているかもしれませんね、ですが私たちは正面からそれを捻じ伏せるだけです。」
「………ザディルさんって知的に見えて意外に脳筋ですよね。」
「ふふ、こちらが考えて動く必要がないだけです。」
「えぇ?」
少し困惑した声が聞こえてくる、まぁ…気持ちはわからなくもないが私は自身の強さとヨリツグさんの強さにそれほど自信がある。
「安心してください、私がこの国の騎士として貴女を守りますよ。」
「やぁ…そ、それは確かにこ、心強いですけど!」
「さ、そう言っているうちに宿泊する村が見えてきましたよ。」
私たちの方がヨリツグさんたちよりも一足早い到着、村で一泊しユダ遺跡へ攻め込む前の無人島でヨリツグさんと合流をする予定。
「…気を引き締めないとですね。」
「えー?ザディルさん何か言いました?」
「いえ、何も言ってませんよ。」




