第七十七録:潜行 二節「急用」
「オールヴェレニアさん、フラウリンから使者が来るのでラグナの件は問題ないです。」
「そっか…ありがとうね、ラグナもすまないね。」
「大丈夫ですよ。」
これで問題は解決…だが俺たちはすぐここを出なければいけない。
「すみません…オールヴェレニアさん、もう少しゆっくりとしたいのですが俺たちはすぐにここを出発しなきゃいけません。」
「それは…残念だね、見送りくらないはするよ。」
「ありがとうございます。」
残念で後ろ髪を引かれるが今回は急がないといけない…降魔礼讃の根城であるユダ遺跡へ向かい、そこでザディルさんたちと合流して降魔礼讃を叩く。
コンコン…ノック音が響き全員の視線が扉へ向けられた。
「お話中に申し訳ございません!フラウリン国よりキキョウ様がお見えになられました!」
「早いね!いいよ、入ってきて。」
扉越しに兵が報告しオールヴェレニアさんもそれを了承、扉が開かれた。
「フラウリンより参りました、桔梗と申します。」
綺麗な所作でお辞儀をした着物の…鬼族の女性、所属はフラウリンではあるが八重ノ島の人で会うのは初めてだが確か一二三さんの同僚。
「すまないけどよろしくお願いね。」
「お任せを。」
ラグナは桔梗さんに近づき握手を交わす、そして俺たちの方を向いた。
「ありがとうね、ヨリツグ、ヤテンラ…それにドロシー。君たちのおかげで僕は今こうして生きていられる。」
「俺たちこそ、ドロシーの件は感謝してもしきれねぇ。」
「じゃな!ありがとうのう!」
「もふ?ももも!もぐもぐ!…んぐっ…ありがとうね!」
出されていたお茶菓子に夢中で頬張っていたドロシーは急いで口の中の菓子を飲み込みラグナへ感謝を告げた。
「じゃあ…また会おうね。」
「あぁ…またな。」
再会を願いラグナは桔梗さんと共に部屋を退室。
「では…僕たちも行きます。」
「良き旅を…あ、報酬は下で受け取ってね。
じゃあネーメル、ベリル、見送りしてあげて。」
「はっ!」
オールヴェレニアさんの執務室を後にしベリルさんたちに報酬の受け取り場所まで案内をしてもらい無事に依頼料を受け取った。
そして…レーヴァテインを停めている中庭でベリルたちと向き合う。
「短い間でしたが楽しい時間でした!」
「私も同じです…また必ずお会いしましょう。」
「はい、また!」
「うむ!いずれ会おうのう!」
「じゃあね!」
俺と夜天羅は二人と別れの握手を交わす…いつになるかはわからないが外魔の件で二人とは会うだろう、その時までのしばしの別れ。
そうして挨拶を済まして俺たちはレーヴァテインへ搭乗、空へと浮上。
アクセルを回して加速をしていく…すぐにフォルスラが小さくなっていった。




