第七十七録:潜行 一節「抜け道」
───「お疲れ様だね。」
アキレウサスからフォルスラへ戻り一日が経った…今はオールヴェレニアさんへ報告をする為に俺たちを含めてベリルさん、ネーメルさんはもちろんの事ラグナも一緒だ。
というか…報よりもラグナをどうしようかという話し合いのほうが主題ではある。
「ありがとうございます…では早速ですが私、ネーメルからご報告をさせて頂きます。」
そう言って報告を始めるネーメルさん。
塔の崩壊に始まり…敵の襲撃、予想外の勇者暴走、それらを詳細にわかりやすく説明をした。
「報告ありがと、ご苦労様。」
説明を受けたオールヴェレニアさんはネーメルさんへ感謝と労いの言葉を掛ける。
それから何かを考える様に手で口を押さえた。
「……中々に大変な調査になってしまったみたいだね、まさかホムンクルスが現存するなんて…。」
まぁ、正直な話…オールヴェレニアさんからすれば厄ネタでしか無いよな。
禁忌とされているホムンクルスが目の前にいる、国としては面倒だろう。
「僕の存在が厄介ならこの国から出て行くよ、迷惑はかけれないからね。」
「ラグナ…」
ベリルさんも思うところがあるのか表情が曇ってしまう。
「…この国には今は居れないかもしれないがラグナを迎え入れてくれる場所はある。」
俺は話に割り込みそう言い放った、オールヴェレニアさんやベリルさん、ネーメルさん、そしてラグナの視線が俺へと向けらる。
そう…ラグナを無条件に尚且つ今なら無茶が通る場所がある。
「あ、なるほどね。」
俺がどこを指しているのかオールヴェレニアさんは察したらしい。
「フラウリンです。あそこなら大丈夫ですしソレイユさんは神代の人だ、ラグナのホムンクルスに詳しいはず。」
今のフラウリンなら突然ホムンクルスが現れたなんて無茶が通るし国としてのしがらみもまだ無い状態だ…運がいい。
「それが1番良さそうだね…ラグナもそれでいいかい?」
「はい、でも…僕以外に神代の生き残り?」
「疑問も無理はない…ま、色々あったんだよ。」
「じゃあ…ヨリツグ、フラウリンへの連絡を任せていいかな?」
「はい、すぐに連絡してきますね。」
俺は一度部屋を退室して彼方ノ鏡を取り出して連絡を試みる…。
"ヨリツグじゃない!久しぶりね!"
「ソレイユさん!お久しぶりです。」
すぐに通話へ応答をくれたソレイユさん、まだそんなに経ってないがそれでも懐かしさが込み上げてくる。
"で、私に連絡なんてどうしたの?"
「少し…頼み事がありまして、実は───」
俺はラグナの件を詳細に話してフラウリンへと身元を引き受けてくれないかと打診した。
…それに加えてドロシーがホムンクルスになった事も話した。
「はー…相変わらず激動の日々じゃない!それにしてもホムンクルスがねぇ…」
「どうですかね?」
「いいわよ!戸籍とかはフラウリンで用意してあげるわ、ドロシーのもね!」
「ありがとうございます。」
「いいのよ!私たちにもメリットはあるしね!」
ソレイユさんは明るくそう言ってラグナとそれにドロシーの件も快く話を引き受けてくれた、本当にありがたい。
「すぐに桔梗を向かわせるからオールヴェレニアに言っておいて。」
「了解です。」
通話を終え、話が素速く纏まり解決した。
これで二人の事は問題ない…俺は再び執務室へ入室。




