余談「妖霊事件」03
────翌日。
俺は妖霊管理機構の事務所に来ていた、表向きは警察署で職員は一応警察官として勤務をしている場所。
「や!縁継くん、昨日はありがとうな!」
「いえ…」
会議室…だろうか青鐘寺さんと対面で顔を合わせる、しかし呼ばれた理由がよくわからない。
悪霊に関与しているのは確かだがそれだけでは理由が薄い、普通なら逆で関わらせない様にするはず。
「お疲れ様っす!」
「荒垣さん、お疲れ様です」
扉が開き入室してきたのは荒垣さんと…その後にさらに三人の職員が入ってくる。
昨日振りの岡堀さんと華原さんに加えて──
「よ、吉田です…ど、どうもっ」
辿々しい言葉と不安げな声色で視線が合わない…二十代前半だろう小柄な女性、猫背で荷物を抱えておりより小さく見えてしまう。
「よぉし!全員揃ったな、今日の議題はもちろん、昨日に見つかった悪霊の件や!」
青鐘寺さんがそう言うとプロジェクターを起動させスクリーンに資料が映し出されて岡堀さんが立ち上がり手持ちの資料を見ながら話し始める。
「先日、発見された遺体ですが身元が判明…というよりは我々が追っていた事件の容疑者になります。名前は染浜 隆二、年齢三十五。」
「染浜は"呪殺師"として複数人を妖術による呪いで殺害したと見られ捜索をしていました…そして霊体を封印、尋問をしていますが本人が妖術に精通している事もあり有力な情報は"天逆"に関与している情報のみになります、報告は以上です。」
「ありがとさん。」
……色々な情報があるが一先ず理解しないといけないのはあの悪霊はやはり妖術に関わりがあった事、そして青鐘寺さんたちに追われていた事。
そして…何かわからないがその"天逆"なる組織?人物?が関連しているせいで多分俺がここに居て関わらざる得ない状況になってしまった…疑問を確信に変えるために問う。
「……俺が呼ばれた理由ってその"天逆"のせいですか?」
「そうや、察しがええな!大体は岡堀が説明してくれた通りや…その"天逆"ってのが鬱陶しくてなぁ〜」
「そんなに強いんですか?」
嫌な表情を作る青鐘寺さん、そこには嫌悪と軽蔑が入り混じっていた。
「まぁ…強くはないんや、奴らを発見できたら俺一人で壊滅できる…ただ見つからへんねん。」
奴らか、組織で確定……この人なんて言った?一人で殲滅できる?強い人だと思っていたが想像以上に強い人だ。
「その前に…俺とその天逆はどういう関連があるんですか?」
「おぉ…そうか、そっから話そか…岡堀。」
「はい、覡さんが捕らえたという情報が天逆へ渡っている可能性が高く、覡さんご本人やその家族に害をなす危険性が高いです。」
「っ!?」
思わず席を立ってしまう、俺は対処できるし夜天羅に関してはそもそも近づく事ができない……しかし両親はそうじゃない。
親父とお袋は妖術に関しては存在を知っているだけで無防備。
「安心しぃや、覡夫妻に関してはすぐに俺と荒垣の付喪神を護衛に回しとるからなんかあればすぐに報告がくる様にしとる。」
「あ、ありがとうございます…すみません取り乱して…」
「ええよ!家族を心配する気持ちはようわかる。」
「……でも、俺を狙う理───解魔ノ瞳ですか?」
「やっぱり察しがええな、奴らは縁継くんの神威を狙っとる。」
「……実際、神威持ちが天逆にいる。」
静かにそう呟く華原さん…そこには湧き上がる憤怒を抑えているのを感じる。
「そうやねんなぁ…はよ救出したいんやがその神威が厄介やねん。」
「人質ですか?」
「そや、しかもその神威ってのが"神隠し童"ゆうてな…要は神威がいる場所を俺らは認識でけへんねん。」
なるほど…厄介と言われる理由が理解できた、所在が掴めなければ捕まえる事ができない。
「そんでや、縁継くんを呼んだんはこの事の周知と…ほら吉田アレ出してくれ。」
「っ!は、はい!」
ガサガサと持ってきた荷物を漁り取り出したのは─────
「お札…ですか?」
「こ、これは反呪符。た、大抵の呪いならこ、これでなんとかなる…!」
「吉田はウチの妖術具開発部のエースっす!私たちも使っている符術になるので信用してくださいっす!」
「ご両親にもやが縁継くんも持っときや、枚数はあるからな!」
「ありがとうございます!」
「じゃ!今日はこんなもんやな、他ないんやったら報告は終わりや!」
そうして…組織に狙われていると知らされ解決するまでは緊張した日々が続くだろう。
俺には青鐘寺さんを信じることしかできないが、もし襲われたら?……そう考えてしまう。




