余談「妖霊事件」02
「は、離せっ!!なんで取り憑けない!?」
……違和感。コイツは明らかに幽霊になった後の事を把握している。
それに死んですぐに'ハイ!悪霊'は理解していないと無理だ、本来悪霊となるには強い恨み、自身が幽霊と認識して成仏を拒む、強い意志とこの条件が揃って初めて悪霊となる…つまりコイツは─────
「お前、妖術師だろ。」
「!?!?!!、なぜ!お前の様な一般……!!なんだその瞳は!?」
月明かりに照らされた俺の解魔ノ瞳に気がつき驚きを隠す事ができない悪霊。
まぁ無理もない解魔ノ瞳みたいな神威は相当珍しい、こんな所でばったりと出会すなんてコイツは運が悪い。
「そのまま大人しくしていろよ、もうすぐ妖霊管理機構の人が来るからな。」
「は!?」
さっきの電話は警察だと勘違いをしていたんだろうな、目の前に遺体があれば普通はそうする…そう考えれば本当に運がないな。
「クソ!?離せ!!俺の計画が!わざわざ死んでやったのに!!!」
声を荒げ抵抗をやめない…しかしどう足掻いても抜け出す術はない。
コイツ程度の妖気では邪気の足元にも及ばない。
「暴れんな、力加減ミスるだろ。」
「っ!!!」
俺の軽い脅しに抵抗の勢いがなくなる…もう力加減を間違えるほど解魔ノ瞳を使いこなせていない訳じゃないがこういう脅しは有効だろう。
「お疲れ様です!妖霊管理機構の者です!」
「あ、お疲れ様です。」
そうこうしているうちに青鐘寺さんが呼んでくれた人が来てくれた。
「岡堀と申します!」
「私は華原と申します。」
二十代中盤ほどの男性の岡堀さんとベテランであろう四十代くらいの落ち着いた雰囲気の華原さん。
二人の名前を知るのは初めてだ…月の面談報告で妖霊管理機構を訪れる時に見た事はある。
「早速ですが封印しちゃいますね!」
岡堀さんが妖術具を取り出す…過去に三船の時にも見たことのある道具。
「第三番拘束"不楽"!!」
「やめ!!やめろぉお!!!」
悲痛な叫びと共に妖術具へと封印された、これで一件落着…とはならない。
さっきコイツが言っていた事が気になる、計画…それが引っかかる。
わざわざ自死するほどの計画だ、何かあると思わざる得ない。
「いやぁ!ご協力ありがとうございました!」
「いえ…たまたまです、それに気になる事がありまして。」
「はい!なんですか?」
「この悪霊…計画があるって言ってたんですよ。」
「計画…ですか。」
「おい、岡堀!ちょっとこっち来い。」
「あ、はい!」
首吊りの遺体を下ろして確認をしていた華原さんが岡堀さんを呼び付け、遺体のそばでなにやら話込む…ひと段落が着いたのか二人して俺の方へとやってきた。
「覡さん…込み入った事情になる可能性が高いです、今日は帰宅して明日また事務所まで御足労願えますか?」
「…それは大丈夫ですけど、学校終わりにですか?」
「いえ、重ねて申し訳ないのですが朝からがお願いします。」
「了解です。」
やはり…あの計画とやらが関係しているんだろう。
面倒な事にならなきゃいいが、そうはならないという確信がある。




