余談「妖霊事件」01
夜天羅という恋人…というか婚約者ができてから俺の世界はまるっきり変わった。
恋人ができてバラ色の…もあるがそれ以外の環境が激変した。
まず、解魔ノ瞳が再び覚醒した事で日常的に妖霊…特に幽霊を見る事ができる様になってしまった。
"みえているだろ?み、みむ、えて?"
暗い夜道、コンビニ袋を下げて帰宅中の最中、こんな風に絡まれるのも慣れた…人気のない高架下トンネル、点滅する蛍光灯が管理の杜撰さを物語る。
不自然な形をした人間…腕は2本だったり3本だったり、脚は左右で長さが異なり頭から肩は異常な震えに加えてスローモーションの様に残像が残り形をより一層ぼやけさせる。
明らかな異常と対峙していた…が、特になんて事はないあんな奴は割とゴロゴロいる。
幽霊は長く現世にいると形を忘れていき普通なら放っておけばそのうち在るべき場所へ還る。
無理やり成仏させることもできるが…それはあまり得策じゃない。
異常な状態に見えても幽霊なりに自分と折り合いを付けている最中…だから妖霊管理機構は巡回管理して見守っている。
……しかし残念な事に目の前の奴はそうじゃない、悪霊となり怨嗟を振り撒こうとしている。
後ろにはその悪霊の本体である首吊り遺体が不気味にゆらゆらと軋みを上げながら揺れていた。
「こんなとこで首吊りとはなぁ……」
今は夜だから人通りがないが昼間となればそれなりに通行量がある、朝に見つかれば大騒ぎだろうな。
そう考えながらも俺は冷静にスマホを取り出してとある人物へ電話を掛ける。
「あー…青鐘寺さん、夜分に申し訳ありません。」
"おー!縁継くんか!大丈夫やで、どないしたんや?"
「実は────」
俺は現状を詳しく説明を伝えて青鐘寺さんに指示を仰ぐ、幽霊だけなら俺だけで何とかなるが遺体があるとなれば話は別。
"そらえらいこっちゃ!すぐに部下を向かわせるから待機してもらっててもええか?"
「はい、俺は大丈夫…です、よっと!」
通話の最中に悪霊が俺へ掴み掛かろうと襲いくるが、あんな奴に捕まるほどヤワじゃない。
"襲ってきよったんか!?活きのいい悪霊やな!大丈夫か!?"
……幽霊に対して活きのいいなんてまあまあのブラックジョークじゃないか?
「大丈夫ですよ、確保しますか?」
"すまんが頼むわ!また給料は弾む!"
「了解です。」
青鐘寺さんとの通話を終える、変わらず悪霊は俺へと掴み掛かろうと必死…悪霊の魂胆は取り憑くこと。
「たくっ…何に執着してるか知らんが死んだ後も迷惑掛けるのはどうかと思うぜ!」
迫り来る悪霊の手を避け逆に顔面を鷲掴みにしてやる。
「!!!」
「なんだよ、驚いた顔して狂ったふりはやめたのか?」




