第七十六録:判明 三節「ネルテ・ルサド」
────「すんごいですねぇ!!!」
私の隣にいるハミルトンはまるで子供の様に目を輝かせながら周囲の景色を現像機に収めてゆく。
「それで撮るのは構いませんが…外に漏らしたら懲罰ものですからね。」
「わぁーかってますよぉ〜ザディルさん。」
そう言って私を軽くあしらいながら周囲への撮影を続けている…まぁたまにはいいだろう。
彼女はこの任務に文句も言わずに………ではないがよく頑張ってくれている。
「しかし…ザディルさん、わざわざ私たちを引き返させてまで会わなきゃいけない理由ってなんですかね?」
ハミルトンは撮影に一区切りがつきネルテ・ルサドへ来訪した事への疑問を口にする。
「それはゴルドー君に会ってからです。」
実際のところ…私も理由は知らない。
彼方ノ鏡から連絡があり至急ネルテ・ルサドへ…と"指令"を受けただけ。
「まぁ…予想はつきますよ。」
「えー?なんですか?」
「いいえ、何もないですよ…早く合流しましょうか。」
ゴルドー君がモースリンガーへ向かうはずだった私たちを呼び寄せた理由は追っている組織である降魔礼讃の情報だろう。
その確信がある、彼方ノ鏡で情報を伝えないのも盗聴を危惧しての事、そうでなければ指令を出して合流などあり得ない、彼も状況はよくわかっている。
「あの…ザディルさん?ここなもしかして───」
「はい、ネルテ・ルサド共和国のティアマテア宮殿になります。」
歩みを進めて到着した場所…それは国の中枢である宮殿、荘厳な雰囲気を纏って私たちを出迎えてくれる。
「ひぇぇ…」
「さ、行きますよ。」
「うぅ…緊張しますよぉザディルさん!」
「はいはい。」
「ちょ、ちょっと!そんな雑なぁ〜」
少し後ろからハミルトンの気の抜けた声を聞き流しながら門番へ話を通して中へ。
「わぁ……」
「これは中々…壮観ですね。」
煌びやかで豪華、気品溢れた装飾に思わず目を奪われてしまった。
「ハァイ!ようこそ、ネルテ・ルサド共和国へ代表のオーレリア・レインバレルよ!」
高らかなで凛とした声が宮殿に響く、私たちの目の前に現れた長身で活発そうな女性…さらに目を引くのはそのしなやかなで堅牢な鱗を纏った尾に頭部からは漆黒のツノ…それが意味する事は───
「りゅ、竜族!?」
「そうよ!竜族の長でもあるわ!」




