第七十六録:判明 一節「紙片」
ピィー!!ゴルドーさんが指笛を吹く、すると遠くから獣の遠吠えが聞こえた。
猛スピードでその獣がこちらへやってくるのがわかる、重く踏み締められた地面の振動が獣の強靭さを物語っている。
木々を悠々と飛び越えて現れた四足歩行の純白の獣…ライオンに似たその威風堂々とした風貌に圧を感じる。
「お、おぉ…」
「この子は私と契約している魔獣レオニルスです、リヒトさんとアマネさんの五右衛門に付けていたのですが…お2人が急に消えたらしくてね。」
ゴルドーさんは軽く魔獣を撫でると次に手早く意識のない大崎を魔獣の背に乗せた。
「さぁ、アマネさんも乗ってください。」
「は、はい。」
恐る恐ると刺牙は魔獣へ近づき背にまたがると大崎の事を心配そうな表情を見せて寄り添う。
「それでは…」
「あ、ゴルドーさんちょっと待ってください…これを。」
俺は懐から紙片を取り出してゴルドーさんへと差し出した。
「ヨリツグさん、これは?」
「中身を見てくれればわかります、ただゴルドーさんだけで見てください。」
「…わかりました。」
これだけのやり取りで俺の意図を察してくれた、そうこの紙片には重要な情報が記載している。
「それでは、私たちはオーザンガールへ帰ります。」
「お気をつけて。」
別れの挨拶を交わすと魔獣は地面を強く蹴り上げて猛スピードで去ってゆく。
「…やっと終わりかな?」
「これ以上は勘弁したい。」
近くにいたラグナが呟く…今日は短時間でめまぐるしい出来事の連続だ。
これ以上はキャパオーバーしてしまう。
「お前様ー!」
「わー!おっきい猫いた!!」
「ゴルドー騎士の魔獣…初めて拝見しました。」
「いやー!すごい!流石ですね!」
夜天羅たちが上空から降りてきてやっとの事で全員が合流できた。
「まさか事態じゃったのう」
「だな…」
「しかし…なぜあの方は襲ってきたのですか?」
「……ベリルさんとネーメルさんは魔王ノ宿木はご存知ですか?」
「我々特務騎士はその辺りの情報は理解しています。」
「近衛騎士の方々とは連携を取っていますからね!」
「おお!それは初耳じゃ!」
「そうだったんですね…ありがとうございます。」
ありがたくはあるが…友好国というだけで連携を取るだろうか?他に何か理由があるはずだ。
「それに私たち妖精族は教会に属していません、妖精族は聖霊樹信奉ですしね。」
ネーメルさんは俺の心情や疑念を感じとったのか補足で説明をしてくれた。
そうか…こんな形で教会に属していない国もあるのか。
「なるほど…わかりました。アイツが襲ってきたのは能力が魔王ノ宿木と対をなす能力からの暴走です。」
「勇者…ですか、腑に落ちました。」
「運命の悪戯としか言えませんね!」
「まぁ…何はともあれ被害なく終わってよかったですよ。」
「ほんとにそうじゃ!お前様が光に包まれた時はハラハラしたんじゃぞ!」
「それは…まぁうん、ごめん。」




