第七十五録:水と油 五節「強制停止」
「やらせるわけねぇだろ!!」
大崎へ接近、刀を全力で剣へ振り下ろし矛先をずらそうとするが…その無尽蔵とも言える魔力を使い身体を大幅に強化。
俺の膂力を拮抗してしまうがこれでいい。
夜天羅の方へ視線を向けると状況を察してくれたのかレーヴァテインを操作して射線から外れてくれた。
「さて…どうする?」
俺と拮抗した状態なら夜天羅へ射線を戻す事はできない、となれば…一度構えを解くしかない、だがそれは普通の考えだ。
意識のない大崎もとい勇者ノ灯火がどう動くか…
「はっ!俺か!!」
剣の切先…砲撃の射線を俺へと向けた、なるほどこのまま邪魔者を排除するつもりか!
「いいぜ!それで俺が倒せるか試せよ!」
夜天羅が狙われるよりマシだ、防御を固めれば俺は耐えることができる。
大崎の魔力が尽きるが先か俺が倒れるのが先か…
「根比べだ。」
「いや…そこまでです。」
「!?」
どこからか声がしたかと思うと空から俺と大崎の横に現れたのは───
「ゴルドーさん!」
純白に金の装飾が施された鎧を着込み大剣を携えたゴルドーさん、その登場に驚いたのは俺だけじゃ無かった。
勇者ノ灯火もだったがすぐに脅威を断定、動きを見せようとしたその瞬間。
「駄目ですよ、"Re:ディストラクション"」
「おぉ!?」
ゴルドーさんが大崎に手を翳し何かの技を使用した瞬間、大崎はガクンと力なく倒れた。
「ど、どうなったんですか?」
「ほんの一瞬ですが魔力を完全に無効化しました、それで勇者ノ灯火の過剰反応による暴走を強制的に停止させました。」
「なるほど…」
要するにリセットをしたわけだ…ゴルドーさんは俺ではできない手段で穏便に事を収めてくれた。
「ありがとうございます、ゴルドーさん。」
「いえ!私の方こそ申し訳ありません!まさか、この様な事態になるとは…私の認識が甘かった次第です。」
ゴルドーさんは俺たちに対する申し訳なさとを表すかの様な沈痛な面持ち。
特に大崎の事が心配だろう…自分の実力以上の力を使用したんだどんな副作用があるかわからない。
「…ゴルドーさんはどうやってここまで?」
「八重ノ島のキキョウさんの魔法で瞬間的にフォルスラまで来ました。」
「桔梗さんか…。」
会った事はないがたしか一二三さんの同僚…そうかあの人は瞬間移動みたいな魔法を使うんだった…だとしてもここまでかなり時間が掛かるはず?
「フォルスラからアキレウサスまでは走ってきました。」
「………さいですか。」
やはりこの国で一番強い騎士なだけはある、規格外としか言いようがない。
走って半時間でフォルスラから?これがゴルドーさんでなければ信じていない所だ。
「ヨリツグさんには色々と積もる話もありますが…私はリヒトさんとアマネさんをすぐにでも連れてゆかねばなりません、申し訳ありません。」
「そうですね、大崎の身体も心配ですし…仕方がないですよ。」




