第七十五録:水と油 一節「最優先」
ガァンッ!!俺は背後から夜天羅へ目掛けて飛来する何かを抜刀と同時に弾き飛ばす。
「んお!?なんじゃあ!!?」
「わー!!」
「夜天羅、ドロシーと一緒にレーヴァテインに乗ってくれ。」
夜天羅とドロシーを俺の後ろへ庇い守る、背後からの攻撃…嫌な予想が頭を駆け巡って止まらない、その正体────
「大崎…どういうつもりだ。」
「………っ」
剣を抜き斬り掛かってきたのは大崎だった…それを全力で弾き飛ばした結果、ニ、三メートルくらい転がった様子だった。
無言で起き上がり再び剣を構えた、気配でわかる…大崎は目標は俺の後ろの夜天羅だ。
「ちょ!ちょっと!理人!?アンタ何してんのよ!!」
刺牙は突如として奇行に走る大崎に非難の声を上げる、だがそれを聞いても剣の矛先は変わらない。
「大崎答えろ…それは自分の意志か?」
夜天羅を狙われた事で怒りが抑えられず少しだけ怒気孕んだ声色になってしまう。
クソ…ずっと嫌な考えが浮かぶ、大崎は教会の刺客なんじゃないかと。
霜田の聖痕の件がある分それが可能性として一番大きい、ここへ来たのもそれで腑に落ちる!
「ぼ…僕は、こんなこと!したくない!!」
そう…声を上げる大崎、その剣の切先は震えて構えを下げようとしているの。
俺は大崎の様子を見て違和感を覚える、聖痕は洗脳だ…意思があるのはおかしい。
「な、なにをしているのですか!」
ベリルさんとネーメルさんが俺たちの間に入り仲裁へ、二人も状況が掴めずに困惑している。
「…ベリルさん、ネーメルさん、手を出さないでください。」
「いやいや!そも争わないでください!!」
ベリルさんの言葉はごもっともだ…俺だって争いたくなんかない。
しかしそれを大崎の何かが許さない、原因がわからない。
「夜天羅、ドロシーと一緒にレーヴァテインで上空に待機していてくれ。」
「りょ、了解じゃ!」
状況を理解した夜天羅はドロシーを抱き上げてすぐさまレーヴァテインに搭乗、空へ浮上した。
「俺だって争いたくはありません…でも──」
「理人っ!!」
刺牙の声を聞き視線を大崎に戻すと剣に魔力を溜めていた…その狙いはレーヴァテイン。
「お前っ!!」
瞬時に大崎へ近づき振り下ろそうとした剣の側面を蹴り斬撃を逸らす。
「!?」
斬撃は魔力を帯び明後日の方向へ飛んでいく……冗談じゃない!本当に殺すつもりじゃねぇか!!
こいつ…本当に教会の差し金か!?教会側のギルバートの目的は夜天羅の中にある"魔王ノ宿木"だ、なのに大崎は殺す気満々。
「クソっ!とりあえず黙らす。」




