余談「ある種の禁書」前編
「……お袋なにしてんの?」
とある日…夜天羅の所へ行こうとした時、母親が珍しくスマホに集中していたので気になって聞いてみた。
「あら縁継」
気がついたお袋が視線を俺へ向ける、その時にお袋のスマホの画面がチラッと見える。
「夜天羅の…部屋?」
「最近の技術は便利よね〜渡したい物も運べて会話も出来るんだから。」
つまりお袋は夜天羅へ何かを渡した?その為にわざわざ?
「ドローン?」
「ドローン?ラジコンよ〜、よくわからないけど。」
改めてスマホの画面を見ると低い画角で地面を移動していることがわかる。
"おお?その声はお前様かのう?"
ガサガサと音がしたかと思うと笑顔の夜天羅の顔がカメラに映される。
「おー夜天羅だ。」
……つい何も考えてない頭空っぽの返事をしてしまった。
「縁継、夜天羅ちゃんとこ行ったらラジコン外に出る出してね〜」
「え?あぁ、わかった。じゃあ行って来る。」
「はーい、よろしくね〜」
お袋に見送られて俺は家を出た、通い慣れた書院までの道のりを歩き数分で到着。
「お前様ーおかえりなのじゃ」
「あぁ…ただいま。」
玄関を開けるといつも通り夜天羅が出迎えてくれる…が、いつも通りじゃないのが───
「なんか…ちんちくりんだな。」
扉を開けた先の土間部分にキャタピラの式の丸っこいラジコンがいた、それも雑誌とか二リットルペットボトルを載せれる様な荷台付きのやつ。
"縁継、ありがとうね〜。夜天羅ちゃんもまたね〜"
「義母様も気をつけてのう!」
モーターがギアを回し駆動する、キュルキュルと履帯が音を鳴らし進む。
………なんだ?…なんか…シュールだな?…いいしれぬ気持ちを抱えてお袋座が操作するラジコンを見送った、その後は夜天羅と一緒に居間の方へ。
「あれいつから始まったんだ?」
「少し前からかのう、お前様が学舎に行っとる間に義母様が来ておしゃべりをしていつもはお前様が来る少し前に帰っていくのじゃ」
そうか…今日は偶然だったわけだ、会話が弾んだんだろうな。
「義母様とは話が合うからのう、ついつい長話をしてしまった。」
隣に座る夜天羅はそう語る…彼女の表情を見ても嘘や無理をしている様子はない。
よかった…お袋と夜天羅が良好な関係を築けているのを見れて。
「そっか、日中に暇を持て余しすぎてなくてよかったよ。」
「あのカラクリが来てから義母様は色んな物を持ってきてくれてのう!有難い限りじゃ!」
「お袋がねぇ…」
気になるな…お袋がどんな物を夜天羅に渡しているんだろうか、純粋に気になる。
「これはさっき持ってきてくれた雑誌じゃ!」
そう言って夜天羅が取り出して俺に見せてくれたA4サイズの少し厚めの雑誌。
「おーー…またすごいの持ってきたな。」




