第七十四録:最悪の邂逅 四節「幕引き。」
「……後味がわりぃ。」
横穴から脱出して人型の遺体が目に入る、もうピクリとも動かない。
非道な実験の末に俺への当て馬、もう得るものがないから使い捨てた…今回の戦いはそんな印象を受ける。
自分の意思で戦いに身を投じた訳じゃない、それがどうにも許せない。
「お前様ー!!」
「わー!縁継!!」
「夜天羅!ドロシー!」
木々の隙間を飛び現れたのは夜天羅と抱っこされているドロシー、二人はわざわざ迎えに来てくれたみたいだ。
夜天羅は軽やかに地面へ着地しドロシーを腕から下ろす。
「お前様が無事でよかったのじゃ。」
「なんかすんごい声した!あっ!コイスケ!」
にゃんにゃー
ドロシーは自分の陰から現れたコイスケを見てすぐさま抱き上げる。
…あの断末魔を聞いて心配してきてくれたのか、そして夜天羅が動きコイスケがここにいるという事は──
「ベリルさんたちの方も片付いたのか。」
「うむ!大きな怪我もなく完勝じゃ!」
にゃあん!
持ち上げられて伸びているコイスケが右前足を上げて返事をしてくれた。
よかった…ベリルさんたちも敵を倒して尚且つ無事で。
「じゃあ、戻ろうか…別の問題も残っているしな。」
そう…戦闘は終わり解決したし重要な情報も得ることができたが、あの2人の件がある。
「あの空から現れた奴らのことかの?」
「そうそう、本人たちも何が何だかって感じでさ。」
「楽しそうだった!!」
……前々から思っていたがドロシーはスリリングな体験が好きみたいだな。
「これ、あんな危ない事はダメじゃ。」
「えー!」
「レーヴァテインの飛行で勘弁してくれ。」
「じゃあね!もっとグルグル回ったりしてー!」
腕を大きく回転させながらそう主張するドロシー…曲芸飛行か、気軽に言ってくれるぜ。
「まぁ、それくらいな大丈夫じゃ。」
「……夜天羅さん?」
「お前様が運転するんじゃし大丈夫じゃ!」
笑顔を向けて絶大な俺への信頼はすごく嬉しい…だが正直な話をすると俺が怖ぇ。
レーヴァテインだし…万が一に落ちたとしても怪我をさせない自信だけはある。
「考えとくよ……」
「わーい!楽しみ!!」
両手を上げて喜びを現すドロシー、この喜び様を見てしまうと無碍にはできないし期待には応えてやりたい。
そう談笑しながら俺たちは林の出口に差し掛かる、ベリルさんたちの元向かう。




