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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第七十四録:最悪の邂逅 三節「手向け」

────「カカ!コカッ!!」

人型による刺突を回避…背後にあった樹木が裂け音を立てて崩れる。

木などお構いなしに俺へと攻撃を仕掛けてくる、適度に距離を保ち俺を見失わない様に林の中を駆けていく。

目的は夜天羅が感じとった気配、それがどうにも気になる。

敵なら潜伏していた事をわざわざ無駄にする様な行為をしたのか?それとも林へ誘導する為にわざと気取られたのか?


人型が腕を振り回すのをやめてさっきから刺突へと攻撃手段を変えた…流石に木々を薙ぎ倒し続けるのは面倒だったんだろう。

「カカッ!!カッ!?」

俺は刺突をいなして逆袈裟に斬り裂く、両断してもおかしくはない深さだがかろうじて繋がっている。

「ちっ…」

未知の敵を想定、周囲を警戒しながら林の中を駆け回る。

そんなに広くない場所だ…敵がいればすぐにわかるはずだと慎重に観察。


「カカカカカカ!!ガァ!!!」

「!?」

人型の様子が急におかしくなった、木々を薙ぎ倒し暴れ始める、元々…俺への敵意や怨みがダダ漏れで殺す為に行動していた。

しかし…今は違う、俺をどこかに追いやろうとなりふり構わず暴れている。

なにか近づかれたくない物でもあるのか?やはり仲間の司令塔がいる?


「…探す価値はあるか。」

なんにしろ手がかりがない、なら少しでも異変があるならそれを調べるしかないだろう。

「悪いが…無茶苦茶するぞ。」

俺は未だ暴れ狂う人型へと刀を振る、両腕を叩き斬り破壊し更に足と四肢をバラバラにして胴体を唐竹割りに両断。

最大限に再生を遅らせてその隙に辺りへの探索を開始。


人型がずっと暴れていた事から恐らくその司令塔役の敵は動けない状態でいるはず。

俺は夜天羅の様に鋭敏に気配を察知できるわけじゃない、地道に探すしかない。

「……横穴?」

この林は傾斜がそれなりありかつこの地面は様々な家屋や施設がある…つまり横穴に見えるものは家屋の中なんだろう、あまりにも苔や草に覆われて微かな面影しかない。


「それほど深くないな。」

中に足を踏み入れる、嫌な軋みはあるもののギリギリ俺が乗っても大丈夫そうだ。

魔術で明かりを照らすと驚いた小動物が慌てて動き連動して虫も動く…この様子から人が長年踏み入れてないことがわかる。

「…いや、違う。最近誰か来てる。」

床を見て俺の考えが間違っていることに気付かされた、足跡をみつけてしまう。

「当たりだな。」


足跡を追い奥に進む、突き当たりが曲がり角になっていてさらに進む。

狭い…刀での戦闘は圧倒的に不利になる、俺はナイフを取り出す…生き埋めはごめんだ。

「!!…これはっ」

足跡に導かれてついた場所…そこにいたのは───機器に繋がれた脳髄。

ガラスに覆われ液体に浸された脳髄…気味が悪いとそう言わざる得ない。


"ザッ、ザザッ──だ、れか、いる?"

「……お前はだれだ。」

電子ノイズの後にか細い男性の声が聞こえてくる…声の主は目の前の脳髄、生きているだろうとは思っていたがまさか意思疎通が取れるとは予想外だ。

"お、おれ、こうま、らいさん、の"

やはりか…教会か降魔礼讃、どちらかの差し金と仮定はしていた。


"お、おまえ、が、たた、たたかてた、やつ、だ!"

「お前が…人型の本体か。」

コイツが司令塔役かと思っていがまさか本体か…なら。

「殺しはしないから今すぐ帰れ。」

"は、はは、は、、それ、むりだ、おまえ、が、ひと、がたと、よ、よぶものは、おれの、いし、かんけい、ない。"

「……っ」


どう足掻いても…殺さないといけないらしい、自分の意思とは関係なく肉体だけが暴走した殺戮機械と化している。

"も、もう……かい、か、かいほう、して、くれ!、、い、いいい、いたい、のは、たくさん、だ!"

「……そうか。」

痛み…自傷や俺との戦闘で負った痛みが全てこの脳髄にフィードバックをされている。

……あの人型が痛みを無視したりしていた理由はこれか。


「……なるべく痛みがない様に努力はしてやる。」

ナイフを鞘へ収めてより切れ味がいい

刀を改めて抜刀。

"あ、あり、ありが、とう!…お、おお、おれいに、こうま、らいさん、は────"

「…そうか、感謝する。」

貴重な情報を貰い名も知れない敵に感謝を告げて…俺は刀を振り下ろし介錯を務めた。


流れ出す液体、滑り落ちるガラス、そして…べチャリと落ちる脳髄。

─────ッ!?!!ガァァァァァ!!!

外から人型の断末魔の絶叫が聞こえてくきたがそれは徐々に細く、消えてゆく。

終わった、その確信を得る。

最後に俺が介錯した脳髄に向けて手を合わせる、コイツが過去に何をしていたのかは知らないが死ねば仏だ手を合わせるくらいバチは当たらないだろう。

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