第七十三録:来訪者 四節「羽化」
「……はっ!第二形態ってやつか?」
土埃が晴れたその中心にいたのは…人型。
しかしその様子は先刻とはまるで別人、外骨格と言えばいいのか骨が皮と肉を丸ごと包みこみ人からかけ離れた風貌へ。
驚きなのはそのサイズ、二回りはサイズダウンをしているがそれでも全長は三メートルはある。
人型は保ってはいるが……鋭い爪に所々に棘が生えており全身が骨に覆われた白い化物。
変わらず血は流し続けていた。
「…見てくれだけじゃないだろう?」
刀を構えて切先は常に人型へ向ける、警戒レベルを上げる…あの火力を耐えたのは脅威と言わざる得ない。
不釣り合いに膨張し持て余していた膂力を十全に使えるとしたら……気を引き締めないといけない。
「コカッ……カカカカカカカカカ!!!」
鳴き声なのか笑い声なのか、よくわからない声を上げて高揚した様子が見てとれる。
「カカ!!」
不気味な動きをしながら俺へと突進。
やはり…あの形態になる前よりもスピードが増している。
振り上げた腕から素早い一撃が放たれる、刀で側面から叩き斬る。
「硬いな!」
刀がが腕の真ん中で止まった、骨の強度もかなりのものになっていた。
「カッ!?」
人型は間髪入れずに攻撃しようとするもレーヴァテインの銃撃により吹き飛ばされる。
「めちゃくちゃ強化されてんな…」
厄介な奴ではあったがそれは再生力と死なない事それを除けば相手にすらならなかった…だが今やちゃんとした敵になった。
これはゆっくりと弱点を探している場合じゃなくなった。
吹き飛んだ人型がゆっくりと立ち上がる、ダメージはない。
「無傷か…ま、アレを耐えたんだ当たり前か。」
「コ、カカ……」
「じゃあ…本気で斬るぞ。」
「カ!?」
人型は距離が空いていたにも関わらず急接近され動揺していた。
俺はお構いなしに刀を横一閃に振るい胴体を斬り落とす、下半身は力なく倒れ上半身はボトリと地面へと落ちる。
「ゴガッ…カカ───」
レーヴァテインが頭部目掛けてゼロ距離でジャベリンを打ち込んで行き地面に無理やり固定、身動きを取れなくする。
「さて…これからどうしたもんかな。」
現状…手掛かりがなさすぎる。
頭部を砕こうが心臓を貫こうが人型は再生してしまう、しかし必ず倒せるはずだ。
"お前様!"
「夜天羅?どうした?」
"さっきようわからんが林の様になっとる方から一瞬じゃが強い気配があってのう!"
「気配か…こっちに敵は増えちゃいない。」
"うむ!伏兵かもしれんから気をつけるのじゃ!!"
「ありがとう」
気配か…気になるな。
夜天羅の探知から逃れるほどの奴が今まで奇襲もしないのは不自然でならない。
調べにいくべきか?俺が林へ行けば必然的に人型もついてくるだろう…。
「よし…レーヴァテインは───」
「うわぁぁぁぁぁ!?!??」
「きゃぁぁぁぁぁ!!?!?」
「なんだ!?」
突然の叫び声に驚き思わずベリルさん達の方を見るとラグナと目が合う。
あっちは絶賛戦闘中で誰かが負傷した様子はない…じゃあどこから声が?そう疑問が浮かんだその時…地面に影が現れた。
「上!?」




