第七十三録:来訪者 一節「供に」
「ちっ…」
気分が悪いったらありゃしない。
刀を強く空振りさせて血を落とす、人型の周りは赤く染まり血の池を彷彿とさせる。
いまだにこの人型の謎が解けていない、肉体なんて斬りに斬りまくり首も何度か斬り離した…しかしやはり再生をする。
不死身、その考えが脳裏に浮かぶ。
だがそれはあり得ない、奴も血を流すたびに疲弊はしているし再生の速度が落ちてきてはいる…必ず底がある。
「まぁ、弱点を掴めないと倒せないが。」
「フーッ!!ガァ!フーッ!!」
オーバーヒート、人型からは湯気が上がり距離を空けているにも関わらず異様な熱気がこちらまでくる。
こいつも問題だが…ベリルさんたちの方も問題だ、あの犬笛が聞こえてデュラハンを見たらまさかのもう一体追加だそれも本体並みの奴…それにデュラハンにも特殊な何かがある。
「面倒な奴らだ。」
「ゴァ───!?」
オーバーヒートの冷却が終わり動き出そうとしたその時──パァン!…銃声に似た乾いた音とともに人型の左腕から胸辺りまでが消し飛んだ。
「な!?レーヴァテイン!?」
てっきり夜天羅の援護射撃かと思ったが空から俺の背後に着地したのはレーヴァテインしかも飛行モードじゃなく人形モード。
"縁継ー!聞こえてるー!?"
「ド、ドロシー!?これは一体!?」
"なんかねーオートバトルができる様になった!!"
レーヴァテインがドロシーの精神的な成長を認めて新たな機能の解放か!
"縁継に合わせて動くよ!!"
「…はは、そいつは心強いな。」
俺はレーヴァテインと拳を突き合わせる、なんとも心強い加勢に少し浮かれた気分だ。
"これは聞こえておるのかの?ドロシー?"
「夜天羅!聞こえてるぞ!」
"おー!よかったのじゃ!まさかドロシーを介して会話ができるとは!なんとも不思議じゃ!"
まさかのドロシーが中継役になり夜天羅の声が届く…確かに変な感覚だ。
"あれじゃ!そのバトルモード?とやらはお前様とわしにしか合わせられんから気をつけるのじゃ!"
「了解だ!」
俺と夜天羅にしかか…なるほど。
ならこっちは俺とレーヴァテインで戦力が過剰だ。
「コイスケ。」
うにゃん!にゃぁん
戦闘中は基本的に俺の影の中にいるコイスケを呼び出す、コイスケは奥の手だが…
「コイスケ、今日はベリルさんたちの方を手伝ってあげてくれないか?」
うにゃん?にゃんにゃ!!
俺を見つめて自信ありげに高らかに鳴き声をあげる、こっちの意図を理解してくれた様子だ。
「ありがとうな」
にゃぁん!にゃんにゃー!
頭を少し撫でた後にコイスケは再び影へ消えてベリルさんの所へ行った。
「さて…俺たちも動くか。」
刀を構えて人型を見据える、吹き飛ばされた箇所の再生を終えて動き始める。
それをレーヴァテインと共に迎え撃つ…。




