第七十一録:終わりよければ? 四節「束の間」
ドロシーは俺の意図を汲んでくれレーヴァテインを呼び寄せはじめる。
その間に全員がこじ開けた外壁周りに集まる、するとすぐにレーヴァテインが現れて先ずは夜天羅とドロシーを乗せて次にレーヴァテイン下部の手の部分へラグナを乗せて次にベリルさんとネーメルさんが羽を広げて飛び立つ…最後に俺が操縦席に搭乗してから塔を離れた。
「た、倒れていく!」
「なんだか…感慨深いですね。」
少し離れた場所で滞空して塔の行方を静かに見守る、ベリルさんとネーメルさんはここから近いフォルスラ生まれだ、何か感じる物があるだろう…姿は見えないがラグナだろう、ラグナからすれば産まれた場所だ。
それが無惨にも倒れて瓦礫になっていく…。
ついに大きな破壊音を轟かせて完全に地へ倒れ伏した…巻き上がる風がこちらへもやってくる。
「…改めてどこかへ着地しますか?」
「そうですね。」
俺たちは再び比較的平地なビル群へレーヴァテインを着地させて一息をつく。
「あっ!」
夜天羅が一言声を上げた、それに対して皆の視線が集まる。
「……ひょ、漂流物の探索を忘れてたのじゃ!」
「あっ」
俺たちの本来の目的である日本からの漂流物もとい来空が残した物の探索をすっかり忘れていた。
「ヨリツグさんたちの目的ですよね?」
「色々あってすっかり忘れてました…」
一番その漂流物がありそうな場所である塔が崩壊してしまった、塔に漂流物があったとしてもあの瓦礫から探すのは困難だろう。
「まいったのう…」
「漂流物ですか?塔と別の場所に保管されていたはずですよ?」
まさかの発言に俺と夜天羅は同時にラグナを見た。
「……マジ?」
「う、うん…確か街の南の方に実験とか調べ終わった物の保管庫があるよ。」
「次の目的地がきまりましたね。」
「ですね…もう少し休憩したらそこへいきましょう!」
俺たちは塔での疲れを癒すために休憩と栄養補給を取ることにした。
「ほれ…ドロシーよ、初めての食べ物がこれで申し訳ないが食べてみるかの?」
「わー!!!うん!!!」
夜天羅はパンと焼いた干し肉とチーズを挟んだサンドイッチと紅茶をドロシーへ手渡した。
「おー!!!」
ドロシーは手にしたサンドイッチをキラキラとまるで宝石でも見るかの様な瞳で眺める。
新鮮な食材じゃないのが残念だが…これはこれで旅の間の特別な食事で気分が上がる物だ。
「んー………はふっ!!」
意を決してかぶりつくドロシー、すると目を丸くして驚く。
「おいしいー!!!!」
「それはよかったのじゃ」
夜天羅はそう言ってドロシーの頭を撫でる、いままでも思っていたが人になってより強く歳の離れた妹ができたみたいに感じる。
その初々しい反応を眺めつつ俺たちも食事を取る、よほど美味しかったのかバクバクと勢いよく食べては紅茶を飲む。
そうして和気藹々とした束の間の休憩を楽しむ。




