第七十一録:終わりよければ? 三節「簡単な事。」
「うおっ!?」
全員がその異常事態に反応、思わず辺りを見て警戒をするが特段何もない。
「そ、外から攻撃を受けてる!?」
ラグナさんの言う通り外部から攻撃を受けている可能性が高いが…神聖防御があるのに?と言う疑問が湧いてくる。
「とりあえず警戒して外へ出るかのう?」
「ここにいても何もならないですからね…いきましょう。」
「じゃあ、行こう。ラグナもだ。」
「あ、あぁ…ありがと───いや待って。」
動きだそうとした俺たちをラグナが制止した、地面を見て何かに気がついた様子。
「どうした?」
「外からの攻撃じゃない…この塔が傾き始めている!」
「はぁ!?」
ラグナ以外の声が重なる、塔が傾いている。
それはあまりにも予想外の事だった。
「じゃあ、下に行くのは悪手だな…」
「しかしなぜ!今になって!?」
「一難去ってまた一難、と言うやつじゃな。」
「いちなんー?」
「面倒ごとが終わらないって事だよ。」
しかしまぁ…どうしたもんか、驚きはしたもののさっきみたいな焼却される様な絶体絶命ではない…最悪、全員で防御を固めるなりすればどうにかなる。
「恐らく…オレイカルコスがシステムを消した結果でしょう、電力は生きていますがこの塔を維持する機器の中身が白紙ですね…」
なるほどな…機械の脳である物がない状態か、システムがなければ機械なんてただの鉄の塊に等しい……いや待てよ。
「ラグナ、システムがないって言ったよな?」
「あぁ、バックアップも丸ごとだから復旧は無理だろうね。」
「神聖僕もか?」
ジリジリとゆっくりと倒れていく最中でラグナに問う。
「!!…そうだね、神聖防御も失って今はただの高層ビルだよ。」
「そうか…なら簡単だな。この壁の厚みはどんなもんだ?」
俺は近くの壁を触りさらにラグナへ問いかけ刀を抜刀した。
「え…多分、400〜600mmじゃないかな?……ま、まさか?」
「そのまさかだ、壁をぶち抜いて外へ脱出する。」
「ドロシー、レーヴァテインは呼べるか?」
「うん!いつでも大丈夫だよー!!」
「よし。」
何もせず防御を固めるよりは壁を破壊してレーヴァテインに乗ったほうが安全だ。
俺は刀を上段へ強く構える。
「ベリルさん、ネーメルさん、夜天羅たちへの防御をお願いします!」
「了解です!」
二人はすぐさま夜天羅たちの前に立ち結界を張ってくれた、これで憂なく全力で刀を振り回す事ができる。
「ふっ!!」
構えた刀を袈裟斬りに思いっきり振り下ろす…神聖防御を失ったただの鋼鉄の壁は刀によりバターの様になんの抵抗もなく斬り裂かれる。
斬れる。俺は刀を二度、三度と壁に振り下ろしていく、そうして出来た三角の斬り裂かれた壁を次は全力の前蹴り。
倒れゆく塔に衝撃が走ると同時に蹴った壁は勢いよく飛び出して外へ落ちる。
外からは眩しい陽射しと清々しい風が俺たちを迎えてくれる。
「ドロシー!」
「うん!」




