第七十一録:終わりよければ? 二節「急変。」
「どうしたんじゃドロシーよ?」
「ドロシーの前の体も使えるよ!みて!」
そう言ってドロシーは夜天羅の腕の中にいた前の機械の体に手をかざすと顔の液晶が点滅を始めて起動した。
夜天羅はそっと機械の体を地面に置くと自立し始めてドロシーの周りを走る。
「こ、これはどういう?」
不可解。ドロシーはホムンクルスで人になる、それが手をかざすだけで機械を操るなんて。
「僕もだけどここで産まれたホムンクルスは機械と人のハイブリッドだからね。」
「そうなのか….てっきりラグナが特別なのかオレイカルコスに改造されたもんだと。」
「アハハ…半分正解かな、この身体に駆け巡っているナノマシンはオレイカルコスに入れられた物だしね。」
手を加えられていたのか…まぁやらないわけないか、オレイカルコスからすれば便利な自分のものじゃない肉体だ。
「話は逸れたが…ドロシーに問題はないんだよな?」
一番大事な事をラグナに問う、魂の件は理解できたがそれ以外で何かないか…憂は少しでもないほうがいい。
「問題…そうだね、まずはホムンクルスになった事で寿命が出来たことかな。」
「…まさか、極端に短いのかの!?」
「いやそれはないよ、断言できる。寿命でいえば300年は生きれるんじゃないかな?僕らは頑丈に設計されているからね。」
「よかった…」
二人でホッと胸を撫で下ろした、長寿の良し悪しはあるだろうがそれはドロシー本人が決める事だ。
「あとはこの時代じゃあまり役に立つかわからないけどメサイアプロテクトが搭載されているよ。」
「なんだそれ?」
「一種のファイアウォールみたいなものかな、かなり強力ではあるけど。」
「ファイアウォール…なんじゃ?」
「セキュリティシステムの一種だよ。メサイアプロテクトは電子世界において鉄壁の防御。」
「それがドロシーに?」
「僕もだけど脳内や脊髄に機械を埋め込まれているからね、それを守るために開発されたシステムだよ。」
そうか…生来の人間にはない新たな弱点、ウイルスやハッキングをされれば一撃だろう。
回路がオーバーヒートして焼けるなんて想像もしたくない。
「ヨリツグさん!ヤテンラさん!退路を確保しま───!!?」
ベリルさんが戻ってきて俺たちの状況を見て驚愕の表情をしていた。
「あー!ベリルだ!」
「え!?あの、誰…ですか!?」
「ベリル、ヨリツグさんたちは─!?
新しい身体に入ったドロシーに声をかけられてさらに困惑をし奥から出てきたネーメルさんが目を丸くしている。
「実は───」
俺はベリルさんたちへ状況の説明をした、ドロシーがホムンクルスの身体になった事、ラグナが自我を取り戻しオレイカルコスが消滅した事。
「この子が…ドロシーですか。」
「うん!ドロシーだよ!!」
信じられないと言った表情で二人はを観察する、夜天羅に抱っこされたドロシーは二人へ笑顔を向ける。
「じゃあ…外に出ますか。」
「ですね!」
「私が先頭を務めます、では───」
ゴウンッ!!…突如として塔全体が激しく揺れた。




