第七十一録:終わりよければ? 一節「肉体」
「ドロシー!?」
夜天羅と声が重なる、驚きなんてものじゃない、別の身体がまさか完全な人型とは思いもよらなかった。
「わー!?すごーい!」
ドロシーは自身の手を観察し動かし動作の確認を嬉々としてやっていた。
「調子はどうだい?」
「大丈夫!!」
そう言ってドロシーはベッドから飛び出してしっかりとした足取りで地に足をつけた。
「夜天羅ー!縁継ー!」
ドロシーは笑顔のまま走ってこちらへやってくるとそのまま夜天羅へ抱きつく、少し戸惑いながらも抱きしめ返す夜天羅
「暖かいのう…」
「ねー!すごいでしょ!夜天羅たち同じ人間だよ!!」
同じ…人間?夜天羅と目が合う、思ったことは同じで人の形をした機械と俺たちは思っていたがそうじゃない可能性がでてきた。
この塔ではホムンクルスを製造していた事実もあるのが余計にそう思わせる…それにラグナの"あの発言"もある。
「なぁ…ラグナもしかしてドロシーは─」
「そうです、ホムンクルスになりました。」
「マジか…」
やはりか…ラグナが言っていた研究の完成…それが悪い事かどうかの判断は正直つかない。
俺と夜天羅からすればドロシーが戻ってきた、これ以上に嬉しいことはない…しかしだ腑に落ちない事が一つある。
「…なぜドロシーがその研究の完成なんだ?」
ホムンクルスならラグナだってそうだ…つまり特別な何かがある、それが何かわかるまでは手放しで喜ぶ事ができない。
「ここで研究していたのはホムンクルスへの魂の定着でね…それはすごく難しいんだ。」
「…話からするとお前は違うんだな?」
「うん、ホムンクルスにも希薄ながら生まれながらに魂はあるんだよ。」
「まぁ…そこが難点で魂がない肉体はただの死体なんだ、だから生きてる肉体に別の魂を入れると拒否反応が起こって死んでしまう。」
なるほどな…だからラグナとは別なのか、そうなれば新たな謎が出てくる。
「ドロシーの身体に入っていた元の魂はどうなったんだ?」
今の話をそのまま受け取るとドロシーは今の肉体の持ち主の魂を潰して入っている事になる……もしそうならその犠牲は知っておかなきゃならない、これは背負うべき咎だ。
「フフ…安心していいよ、ドロシーが入った肉体に元の魂はないよ。」
「……今の話と矛盾しないか?」
「その矛盾を可能にしたのが技術だよ、魂がないと身体も生きれない。」
「だからここの技術者は開発したんだ無垢なる魂を。」
無垢な魂…だと?魂は魂じゃないのか?俺はそのままの疑問をぶつける。
「それでも…魂にはかわりないんじゃないのか?」
「無垢な魂と言っても魂に近いナニカと思ってくれていいよ、身体が生きていると誤認させるための仮初だね。」
魂に近い物…か、聞く人が聞けば冒涜に近いが妙に納得をしてしまうのはソレイユの件を思い出したからだろう。
あれも多分似た様な事をしている。
「ねぇー!!」




