余談「滴る雨と踊る雨音に誘われて。」前編
「おー…この地域も雨がすごいのう」
夜天羅と過ごす書院、窓のない子の部屋でもわかるほどに外からはザァザァと雨の音が聞こえてくる、梅雨台風という奴だ。
「だなぁ…うわ、北のほうはもっとひどいな。」
だが一番の情報は一緒に見ていたテレビのニュース、中継に駆り出されているアナウンサーは可哀想にも雨に打たれながら情報を伝えている。
「はー、この人も大変じゃの」
「アナウンサーの宿命かな。」
暖かなお茶を一緒に飲みながら夕方の時間を過ごす、夏に近づく梅雨の六月だと言うのに気温の差がひどく今日は肌寒い。
ふと横にいる夜天羅は何やら髪を弄っている。
「うーむ、こうも湿気があると髪がうねるのう」
「あー…わかるわ、俺も少し癖毛だからよくはねるんだよな。」
雨の日はこれがあるからちょっとだけ憂鬱になる、夜天羅は直毛だから影響は薄いかもしれないが量が量なだけに俺より鬱陶しいだろう。
「おお!確かにお前様の髪もいつもより良く跳ねておるのう!」
俺の特に跳ねている頭頂部の髪を指で遊んで笑っている。
うにゃん…にゃぁぁん。
コイスケも今日は入念に毛繕いをしており器用に前足で頭を梳かしていた。
カタン…カタン……玄関の方から何やら音が聞こえてくる、風が強くて何か物が当たっているのだろうか?
「おや?」
「ちょっと見てくる。」
「よろしく頼むのじゃ」
陽が落ち始めた曇り空とはいえ夜天羅には危険であることには変わりない。
俺は立ち上がり玄関に向かった、その間も小さな音が断続的に耳にする。
玄関に到着して戸を開けた、外からは湿度を含んだ重たい風が肌を撫でる。
「??」
戸の外を確認するも何かが当たった様子は無く、物も確認できないし音も消えた。
……俺が開けた事でどこかに飛んで行ったのか?少しの疑問はあるものの雨が入って来ても不快なので戸を閉める。
「何もなかったわ。」
「おー…お!?」
今に戻り座っている夜天羅へ見て何もない事を話す、が彼女は視線を俺の顔から足元へ向けて驚いていた。
にゃうん!?
寛いでいたコイスケも何故か眼を丸くしてすぐに借りをする様なポーズをとる。
「な、なんだよ二人ともどうしたんだ?」
突然の変化に戸惑いを隠せない、俺を見て驚いていることから自分に何か起きているのはかろうじて理解ができる。
「お前様ほれ!足元、足元を見てみるのじゃ!」




