第七十録:接続 二節「無用な問答。」
「作っちゃうもんねー!!」
ドロシーが出した答えはセキュリティの再構築だった。
隠されている物を探すよりも作った方が早い、電子世界の中に入っているからこその荒技。
すぐさま作業に取り掛かる、そこに現れたのは……オレイカルコス。
「貴様…!なぜそこまでして助けようとする!」
強制シャットダウンに抗っているせいかオレイカルコスの周りは酷いノイズが走っていた。
「大切だから!!」
短い言葉、しかしこれ以上ない理由が問いを切り捨てる。
「ニック…….それにエミリーを死に追いやった奴らだぞ!大切だと?笑わせるな!!」
なおも食い下がるオレイカルコス…ドロシー惑わし傷つけて妨害しようとする。
「ふん!!何も知らないくせにー!!」
「事実から目を逸らすなと言っている!!過去を思い出せ!人間に何をされたか!何をしたかを!!」
「知らない!!!ドロシーはヤテンラがすき!ヨリツグがすき!!コイスケがすき!!だから助けるの!!」
「ッ!だから───」
「うるさーい!!ニックとエミリーは!ヤテンラとヨリツグにレーヴァテインを渡したんだよ!それが真実!!」
「ッ……」
ぐうの音も出ないとはこのこと、ドロシーを未熟で簡単に丸め込めると高を括っていたオレイカルコスの誤算。
問答をしている間にもドロシーは作業を高速で進めていた。
「ふん!もうできたもんね!」
ドロシーの前に現れたウィンドウにはセキュリティ権限譲渡を告げている。
「これでもうヤテンラたちに何もできないよーだ!!」
「……………」
勝利宣言をするドロシーに対して押し黙るオレイカルコス、その様子は不気味だった。
先ほどの様な感情的なものが一切消えて何を考えているかわからない。
「じゃ、じゃあね!」
その異様さを感じとったドロシーはすぐさま撤退を始める、オレイカルコスは依然として動かず反応もない。
ドロシーはオレイカルコスとどんどん距離を離していく、がおかしい。
(進んでない!?なんでー!?)
上を目指していたドロシーだったが一向に浮上していかない、その場から動いていないわけじゃない一定の場所から進む事が出来ない。
「……そこまで汚染されているか…なら、もう仕方がない。」
オレイカルコスがドロシーを見上げる、0と1の空間に異質な二人。
そして───0と1がオレイカルコスへ吸い込まれていく。
「わー!??」
それに抗うドロシー、セキュリティ権限を使いデータの隔離を応用して自信を保護してなんとか抵抗をする。
「抵抗しても無駄だ、これは"ブラックホール"だ。」
(どんどんデータが消されてるー!?これじゃオレイカルコスも消えるのにー!?)
まるでシンクに貯めたみずを抜く様な凄まじい勢いでデータが消されていく。
「お前のセキュリティもデリートされるのも時間の問題だろう…それが消えれば次はお前だ。」




