第七十録:接続 一節「待つ。」
ドロシーの目的に気がついた俺はすぐに後を追ったが一歩…一歩遅かった。
コンピュータへ辿り着いたドロシーは自身の後頭部から取り出した端子をコンピュータ本体へ繋いだ。
「っ!くそ!!」
「お、お前様、これは…どうなってしまうんじゃ!?」
夜天羅は不安そうに俺の腕を掴んだ、震えたその手を握り少しでも安心させる様に努める。
「…こうなってしまったらドロシーを信じるしかない、間違ってもこの線を抜いちゃだめだ。」
「う、うむ……」
俺と夜天羅はドロシーのすぐそばで静かに見守る、相変わらず周りは不愉快な警告音が響き渡っている。
「ヨリツグさん!」
少し遅れてベリルさんとネーメルさんが俺たちの元へ小走りで駆け寄ってきた。
「すみません…巻き込んでしまって。」
「何言ってるんですか!気にしないでください!」
「私たちでは打破が難しい状況です、今はこの小さな子に運命を委ねるほかないでしょう。」
こんな命が掛かっている場面でも比較的に二人は落ち着いていた、騎士として覚悟は既に済んでいるのだろう。
「ドロシーよ…絶対に戻ってくるんじゃぞ!」
コンピュータ内部に侵入して意識がないドロシーの右手を優しく握り込む夜天羅。
今……内部でドロシーは戦っているにも関わらず何も出来ない状況が、自分が、なんとも腹立たしい。
俺は床に胡座をかき夜天羅と同じ様にドロシーの左手を握った。
─────ドロシーは……ドロシーは情報の海を泳ぐ、無限にも思える0と1。
「うーん!どこー!!」
その中のたった1つのデータを探さねばならない、ドロシーは奥へ奥へと進んでゆく。
深く潜れば潜るほどに0と1が洗練されていき重要なデータが現れる。
「ちがーう!」
ドロシーの探し物…それはセキュリティ関連のデータ、それが一向に見当たらない。
「オレイカルコスめー!!」
見つからない理由は一つ、オレイカルコスによる隠匿もしくはオレイカルコス自身がデータを持っているかだ。
焦るドロシー、自分がなんとかしなければ外にいるみんながいなくなってしまう。
「それはぜったいにヤダ!ヤテンラもヨリツグもコイスケもドロシーがぜったいに助ける!!」
決意を新たに更に奥へ進み深海と言っていいほど深いデータの底へに辿り着いた。
システムの根幹に関わる様な情報がわんさかあるにも関わらずセキュリティ関連のデータだけが不自然にも見あたらない。
探す事が無駄だと気がついたドロシーは次の手を講じる。
「こうなったら!!」
刻一刻と迫る中でドロシーが出した答えそれは────




