第六十九録:感情は。 五節「足掻き。」
「じゃな!」
「私も賛成です」
「ですね!異論はないです!」
満場一致で俺の意見が通り撤退する事に決定、ラグナを抱えようとしたその瞬間──
ビーッ!ビーッ!けたたましく不愉快な警告音が響き全ての電気の明かりが赤く不気味な色で明滅を始めた。
「!?!!?」
「わー!わー!」
全員で顔を見合わせる急激な事態に対応が遅れる、そして……機械的な無機質な女性の声がスピーカーから流れ始めた。
"致命的な汚染を確認、これより本施設の火炎滅菌シークエンスを開始致します。"
よく通る声、聞き間違いなどあり得ないほど鮮明に内容が頭に入ってくる。
「火炎だと!?」
「やっばいのじゃ!!」
「な、なんて理不尽な!?」
「はやく扉へ───」
全員が入ってきた扉へ視線を向けた、がしかし…無情にもその扉にはシャッターが降りて出入り不可能になる。
「破壊して突破しましょう!!」
ベリルさんは武器を構えるがそれはネーメルさんに腕を掴まれて阻止された。
「た、体調!?」
「忘れたのですか!ここは神代の遺跡ですよ!神聖防御が施されています!!」
「ッ!!クソ!!」
そうだ、だからこそ火炎滅菌なんて滅茶苦茶な事を実行しようとしている。
この塔に備えていない人や物は跡形もなく燃えるだろう、しかし神聖防御で守られている物は燃えない。
データや設備が無事ならそれでいい、そんな冷徹な露悪的な思考が見える。
"ハ、ハハッ!せめてお前らは道連れにッ!!"
「オレイカルコスか!?もう再起動したのか!」
"ちが…う、今からシャットダウン、す、するのさ!だ、だだから!その、前にッ!!"
「そ、そんなー!ドロシー!ちゃんと確認したのにー!?」
「ドロシーよ、お主に落ち度ないのじゃ。」
「そうだドロシー夜天羅の言う通りだ。」
オレイカルコスが狡猾だっただけだ、強制シャットダウンを耐えていた…そう表現していいのかわからないが奴は俺たちが集まるのを待っていたのだろう。
"ハ、ハハハハッ!!しゅ、醜悪な人間よ、ここ、後悔して、し、死ぬがいい!!"
考えろ!考えろ俺!!
コイスケの影に全員で逃げ込む?いやだめだ!火に包まれるなら恐らくは影がなくなる、そうなればどうなるか想像がつかない。
これは最終手段だ。
神聖防御の破壊……壊縁を使えば行けるか?
やるだけやって───
「ドロシー…ドロシーがなんとかする!!」
「!?これ!どこへいくんじゃ!!」
意を決した様な面持ちで突如として駆け出していくその先は……。
「パソコンか!?まずい!!」
恐らくだが外から出来ない操作を中からするつもりだろう、しかしだコンピュータの中はオレイカルコスの独壇場だ何が起きるかわかったもんじゃない。




