余談「君への贈り物」後編
「じゃあ…今日のメインだな。」
俺は冷蔵庫からケーキを取り出して机に置いて蝋燭を立てて火をつけてから電気を消した。
「おー!!」
「改めて、誕生日おめでとう。」
「こ、これを息を吹きかけて消すんじゃよな?」
「そうそう。」
夜天羅は恐る恐るだが息を吸い込み─
「ふー!」
息を吹き掛けて蝋燭を一発で全て消した、明かりがなくなり暗闇になる。
俺は立ち上がり電気をつけた、パッと眩い明かりが部屋を再び照らし出す。
「おめでとう」
俺は拍手をして夜天羅を祝う、そして隠して置いておいたプレゼントを取り出して渡す。
「はい、これは俺からでこっちは親父とお袋から」
「なんと!!」
俺と両親からのプレゼントを受け取る、しかしなんだか…心ここに在らずだ。
「ど、どうした?」
「あ、いや、そのな、幸せすぎてのう…」
「そうか、それならよかった。」
俺は夜天羅の隣に座り彼女へ寄り添う、夜天羅の事情から与えられる事に慣れていない。
「開けて…よいかのう?」
「あぁ、どうぞ。」
夜天羅は丁寧な手つきで包装紙を外していく、まずは両親からのプレゼントを開ける。
その中身は──数珠があしらわれた三つの勾玉のネックレスだった。
「おぉ…首飾りじゃ!」
「おー。」
親父とお袋からのプレゼントがどんなものか俺も知らなかったから気にはなっていた…被らなくてよかった。
「のうお前様!着けてくれんかのう?」
「わかった」
夜天羅からネックレスを貰うと彼女は髪をかきあげてうなじを露出させる。
後ろから見た夜天羅の仕草に不意にもドキッとした、髪を上げてうなじを見せる仕草がとても妖艶に映った。
「お前様?」
「あ、あぁ、今着けるよ。」
煩悩を振り払い俺はネックレスを夜天羅へ装着した。
「どうじゃ?」
彼女の首元に三つの勾玉が揺れる、複雑な燃えるような色合いをした琥珀の輝きに黒く透明感のある数珠玉が夜天羅によく似合っていた。
「似合ってるよ、写真撮ろうか。」
「わ、わしだけをか?」
「そう。」
夜天羅は緊張した面持ちだ、それにきっとテレビなんかで覚えたであろう、恐る恐る手をピースさせた。
微笑ましく思いながらスマホで写真を撮り両親へ送る。
「ふふ…嬉しいのう、それに厄除けのまじない付きとはのう!」
「マジ?」
「本当じゃ、この首飾りには妖術的な効果があるのじゃ。」
多分….いや確実に親父とお袋はそんな効果があるなんて知らないだろう、たまたまか?
まぁ…悪い効果じゃないしと納得をする事にした。
「じゃあ…次はお前様のを開けさせて貰うのじゃ!」
嬉しさや楽しさで緊張がほぐれたのか夜天羅からは朗らかな笑顔を見せてくれる。
先ほどと同じく丁寧に包装を剥がし小箱を開けた。
「ほ?小瓶に液体が入っとるのう?」
「これはあれだよ香水だよ、夜天羅の時代的に言えば練香それの液体バージョン。」
「ほう!!」
夜天羅は小瓶を手に取り眺めてキャップを開けた、近くにいる俺にもその香りがふんわりと漂ってくる、柑橘系の様な…爽やかな香り。
一応は夜天羅の好きな香りの傾向を知っていたならそれに合わせたが…どうだろうか?
「おぉ…良い匂いじゃな〜」
「よかった…」
少し緊張したが…喜んでもらえてよかった、一安心だ。
「ふふっ!これをつけてお前様と外に行く日が楽しみじゃ!」
「あぁ、俺も楽しみだ。」
「産まれて初めてじゃ!こんなに祝われたのはのう!嬉しいのう!」
そう言って夜天羅は俺に抱きついてきて、目が合うとすぐに顔が近づき口付けをした。
抱きしめ返して長い口付けが静寂を彩る。
「ぷは…ケーキ食べるか。」
「おわ!忘れてたのじゃ!」
俺たちは二人で小さいホールケーキを切り分けて食べる。
甘い…今日を締めくくる心地いい甘さが舌を優しく包む、隣の夜天羅も嬉しそうに笑顔で頬張っていた。
これからずっとこの笑顔を隣で見ていきたい。




