第六十七録:囚われた者 五節「硝煙」
────剣戟だけが響き渡り火花が散り辺りを彩る…ラグナとの戦闘が刀を交える事に激しさを増してゆく。
ガァンッ!!爪を弾き俺は袈裟斬りでラグナを切り裂く…かなり深く斬り込んだ、普通なら致命傷だ。
「アハ、ハハハッ!!だめだめぇ!!僕が僕を直すからねぇ!!」
パックリと開いた右肩から左脇腹が接合する様に元通りに戻っていった。
戦闘が始まってから八分以上が経っただろう、この再生がなければ既に奴を五回以上は倒せている…実力以上に厄介だ。
首を刎ねるぐらいをしないと倒せないかもすれない。
それに不可解な事にラグナからは一滴も血が流れない、そんな奴を人間と言っていいのか?
「ハハハッ!ハハハッ!!楽しいなぁ!?」
ラグナは両手を重ねて前に突き出して突進してきた、俺はそれを兜割の要領で叩き斬る。
「アハッ!」
ラグナは笑いながらひしゃげた両腕を力なく振りながら後退、俺は追撃のためそれを追うとラグナはひしゃげた両腕をわざと治さずに鞭の様に振り回して牽制、俺とラグナの間に距離が空く。
……狂っている様な振る舞いをしている割に戦い方は冷静で大胆。
しかも、自身の身体のダメージや負荷などを一切考えない動きや攻撃方法をする。
今の様な破壊された腕を振り回したり、筋繊維が破裂するほど力を込めた攻撃。
そんなめちゃくちゃをする一方でクレバーな判断をする。
「ハハハッ!強いなぁ!!欲しいなぁ!欲しいなぁッ!!」
ラグナは腕を即座に治して攻撃を仕掛けてくる、再び刀と爪の応酬が始まる。
実力で言えば…俺より下だが再生と頭のネジが外れている事で中々倒すに至らない。
それにまだ俺が仲間を呼んでいないのにラグナは警戒をしている様子がない、俺との戦闘にしか集中している。
「カッハァ!?」
俺はラグナの右横腹を蹴り上げて吹っ飛ばす、壁に激突してバウンドする。
…モロにいいのが入った、骨を粉々した感触があった。
起きあがろうとするラグナへさらなる追撃で俺は地面ごと心臓へ刀を突き刺して固定してやる。
「ダメダメ!」
ブチブチと嫌な音を立てて身体を捻り斬らせて拘束を脱出した…心臓を串刺しにしても倒せないか。
「…タフだな。」
「アハハハッ!諦めて僕の駒になる!?」
「断る。」
「ざぁんねん!!」
迫ってくるラグナ対して俺はまだ刀を地面へ突き刺した状態、すぐに距離が縮まり腕を振りかぶった瞬間──バァンッ!!短い破裂音が鳴り響く。
「あぇ?」
銃を取り出してラグナの額目掛けて発砲、見事に額に穴が空いた、唖然として手がだらんと垂れ下がる。
「…ちっ!」
思わず舌打ちをしてしまう、わざわざ油断を誘って頭に風穴を開けたというのに再生が始まる。
即座に銃をホルスターへ戻して刀を地面から抜いた時だった。
「…ヨ、ヨリ、ツグさん」
「!?」
ラグナの様子が明らかにおかしい、狂気的な瞳はどこにもなくむしろ逆で理性が宿る瞳をしている。




