第六十七録:囚われた者 三節「果たし状」
報告書には幾つものホムンクルスを使い捨てた実験…命の末路が無機質な文字でつらつらと詳細に記されている。
そこには何も感情を感じない…ただの仕事の結果だ。
「気になりますね…この報告書が本当なら───」
「まだ生き残ったホムンクルスがいるのう。」
この内容が最後のものならまだ上階の実験場に保管がされている。
そう言い切れてしまうのはこの塔の設備が生きているからだ、報告書の中にある"時間干渉保存容器"があるからだ。
報告書によれば時間を停止しあらゆる生命活動を恒久的に保存可能…。
そんな装置があるのならホムンクルスは今もこの容器の中で眠っている。
「これ…本当なら別の問題がありません?」
俺はベリルさんとネーメルさんへ声をかけた、ホムンクルス製造は禁止で犯罪行為。
過去のホムンクルスに対してどういう対応を取るべきか…。
「そう…ですね、ただホムンクルスには意志がないのです…魂が希薄というかですね。」
「まぁ…でも一先ずは保護になります!」
「ベリルの言う通りです、もし発見となれば私たちに任せてもらえますか?」
「了解じゃ」
「わかりました。」
カタ……静かな室内で俺たち以外の物音が響く、小さな異音は警戒をさせるのに充分だった。
「……死霊か?」
「夜天羅が反応しなかったので恐らく。」
「うむ、変わらず生きた者はわしら以外におらんのじゃ。」
ネクロマンサーが仕掛けてきた…?
グールを倒した事に気がついのかもしれない、俺たちは武器を構えて部屋を飛び出した、見た感じ…何も居ない、気配もない。
「ん?なんか落ちとるのう?」
夜天羅が指差す先には紙片が床に落ちていた、それはさっきまでなかった物だ。
「罠…か?」
「周囲に魔術の類はありませんが…」
「私が行きましょう!」
そう言ってベリルさんは早足で紙片の元へ向かいその紙片を拾い戻ってきた。
「うーん…」
「どうしましたベリルさん。」
「いやぁ、これを見てください。」
ベリルさんは紙片を広げて俺たちへ見せた、そこに記載された内容は───
「実験場にて待つ??」
これは…ネクロマンサーからの果し状でいいのか…?ベリルさんたちと目が合うが二人とも同じ様に困惑している様子。
「ちょ、挑戦状?」
「これが本当の罠な可能性もありますね!」
……現時点ではどっちもありえる、まぁどっちにしろ指定された場所は行くことになる。
「うーむ、上を目指すならどうせかち合うのう。」
「だなぁ…行くか、お二人どう思います?」
「私も…賛成です。」
「同じく!この人数なら負ける事はありません!」
「よし…じゃあ作戦なんですけど───」
「了解です」
「了解です!」
全員に接敵した時の作戦を伝えてから俺たちはネクロマンサーがいるであろう上階を目指した。




