第六十七録:囚われた者 二節「グール」
「グール…ですか?」
地球の方では食屍鬼か吸血鬼に血を吸われた者のなれ果てが広く知られている……
「はい…これもネクロマンサー術の一つとされています、しかし初めて見ました。」
長い時を生きる妖精でさえ初見の敵グール、だが謎が残る。
「ネクロマンサー術って死体に使うものですよね?コイツらは生きてましたよ?」
そう…グールは確実に生きていた、夜天羅の探知に引っかかったのが何よりの証拠。
「ネクロマンサー術なのに生きている…いや生かされていると言ったのうがいいですね…」
「この人間は"個人"としては死んでいます、生きている身体だけを利用したネクロマンサー術…ネクロマンサーの中でもグールを扱えるのはほんの一握りです。」
つまり…あれか?脳死状態にさせた人間を改造して兵隊にしていたのか。
それなら夜天羅が反応するのも納得はいく、だが……あまりにも趣味が悪すぎる。
「しかし…どこからグールが湧いたんですかね!千年間生きていられるものでもないでしょうし…」
やはり問題はそれだ。
グールの遺体、衣服は警備員がする様な服装をしている…確実に神代の人間だろう。
「……元凶のネクロマンサーがいる?」
「可能性は高いです。」
と、なればより一層周囲を警戒をして進まなければならない。
「終わったかの?」
扉の方から夜天羅がひょっこりと顔だけ出してこちらの様子を確認する。
「あぁ…終わったよ、上階に急ごうか。」
「了解じゃ。」
凄惨な現場をドロシーの視界に入らない様にして俺たちは上の回を目指す。
やはり…上級研究者が入る22階へ行くには区画が区切られていた。
万一資格がない者が入ってこない様に検問所を設けて厳重に管理をしている。
だいぶ…きな臭くなってきたな。
あの黒塗りの報告書といい、このグールといい…謎が解決しないまま積み上がっていく。
そうして22階、フロア前の扉に到着をした、カードキーを使い扉を開ける。
……目の前には無人のオフィスが広がり、静かだ。
「夜天羅、気配はどう?」
「うむ生きてる者はおらんのう」
グールは居ない事はわかったが…相変わらず死霊が潜んでいる可能性が高い。
全員でかたまって22階フロアを探索開始。
「これは…」
「ホムンクルスの実験ですね…現在では国際的に禁止、使用は犯罪になります。」
探索で発見した書類、それは案の定というか…非合法な実験の報告書だった。
「ホムンクルスって…要は人造人間ですか?」
「はい、男女から必要な部分を奪いフラスコで人を生み出す魔法です。」
「なんじゃその悍ましい魔法は。」
「私もそう思います、ホムンクルスを生み出す魔法を発動させるのに人が二人犠牲になりますからね…」
「ですが!大昔の人は非道で合理的だったんでしょう、なにせ魔法を維持出来れば長期間ホムンクルスを製造できますからね!」
「嫌な話ですね。」
「全くもってその通りです!」
倫理の欠如…過去の戦争を言い訳にするには無理がある、それに研究者は探求の為に安易に倫理を捨てるだろう。
それはこの報告書からも読み取れてしまう。




