第六十六録:均衡の塔 四節「死霊から」
飛び降りた道路には死霊の遺体が数十人が倒れていた…動く奴は一人もいない。
静かだ…警戒を怠らず慎重に歩みを進める。
何にも襲われる事なく社員証を持つ死霊の所まで到着ができた。
倒れた遺体は俺たちに反応する事はなく静かに横たわったまま。
「……すみません。」
俺は罪悪感を抱えつつ遺体に手を合わせて社員証を手に取った…名前は町田 弘正。
名前からして恐らく日本人か…こんな所で同郷の遺体を目にするのはなんとも言えない気持が込み上げてくる。
そう…思いつつ朽ちた社員証ケースからカードを取り出した。
「ヨリツグさん、どうです?」
「…ビンゴです。」
社員証とライセンスキーが一緒に入っていた、多少の汚れはあるがまだ使えそうな感じだ。
「おお!新しいカードですか!これで進めますね!」
ベリルさんは俺の手元にあるカードキーを見て期待を寄せる様な声を上げた。
「夜天羅たちのところに戻りましょう。」
「了解です!」
俺とベリルさんはすぐさま夜天羅たちがいるビルへと戻った。
「お前様!どうじゃった?」
「収穫アリだ、しかもこれ多分どこでも入れるカードキーっぽい。」
「マスターライセンス…つまり───」
「親鍵ってやつです。」
「おお!鍵の問題は解決じゃのう!」
幸運と言わざる得ない、まさかマスターキーが入手できてしまうとは思ってもなかった。
これで探索が楽に進める事ができる。
───再び塔へとやって来て一先ずか新しく発見したカードキーが使用可能か4階へ行き試してみる。
「あれ…だめだな、開かない。」
「ありゃ?違う鍵なんかのう?」
カードキーを差し込むとピピピッと電子音が鳴りランプが赤く点滅して開かない。
「違う場所のマスターキー…ですかね?」
「それなら全部試していくしかなさそうじゃな…」
「面倒くさいがやるしかない」
「あ!もしかして上級研究者の階とか!?」
ベリルさんは思いつきを言っただけだろう…しかしそうか、その線が一番濃厚かもしれない、俺たちの視線がベリルさんへ注がれる。
「えッ、み、みなさんどうしました?」
「当たりかもしれませんよ…それ。」
「め、めちゃくちゃ適当ですよ!?」
「まぁどのまち全部試すんじゃ、それに条件が違うのはその階じゃしのう。」
「一番上…恐らく上級研究者の階は徹底して区切られてると思います、そこから試して下って行きましょう。」
「了解です!」
「了解しました。」
今後の方針が決まり俺たちは階段を駆け上がっていく…予想が正しければ21階から先に行く階段は別になっている可能性が高いだろう。
この施設…というよりアトランティスが企業としてきな臭い、上級研究者ともなれば非合法な実験をしていてもおかしくはない。




