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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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余談「君の日:中」後編

「あー……やっぱりわかる?」

「うむ…わしには話を聞く事しかできんが…どうじゃろ?」

夜天羅は優しく両手で俺の左手を包んでくれる、ちょっと申し訳ないな…。

そうだな…聞くとしたらもうこのタイミングしかない、そう思い重たい口を開いた。

「そうだな…夜天羅にしか答えられない事だしな…」


「え?わ、わしのことか?」

自分のことで悩んでいたとは思いもよらなかった夜天羅に動揺が見られた。

変な雰囲気や間をおくのは余計な不安を感じさせてしまう、すぐさま本題を口にする。

「まぁ…その、夜天羅の誕生日っていつ?」

「ほぇ?」

さらに意外な事を聞いた夜天羅は気の抜けた声が聞こえてきた。


「今年のまだ始まったばかりだからさ…誕生日がまだなら祝いたい。」

「お、おぉ…わ、わしの生まれた月日…かの?」

動揺しつつも記憶を探ろうとしている夜天羅、やはり…500年前それも幼少の頃に山へ捨てられてしまったから曖昧なんだろう。

……親父の言う通りにするのは何か癪な気持ちだがそんな気持ちより俺自身そうしたいと強く思ってしまった。


「おわ!?」

俺は夜天羅を抱きしめた、夜天羅の記憶を探るという事は辛い過去を見つめ直すと同義。

それが和らげたい、すぐ側に夜天羅を愛している存在がいる事感じてほしい。

「ふふっ…わしは大丈夫じゃよ。」

その落ち着いた少し嬉しそうな声を聞いて俺は抱きしめるを一度やめて夜天羅の顔を見た、微笑む彼女の顔が視界に入ってくる。


「しかしのう…わからんのも事実なんじゃ。」

「年齢は合っているんだよな?」

「それはなぜか知らんが来空のやつが教えてくれたのう?」

ということは夜天羅は今年で20歳になる。

予想はしていたが…やはり誕生日は不明になっとしまうか、なら考えがある。

「じゃあさ、今決めないか?誕生日。」


「おお?良いのかのう?」

「俺はいいと思う、祝いたいし…それに新しく始めないか?夜天羅の誕生日を。」

俺の勝手な気持ちとしては夜天羅を捨てた奴らが決めた日なんて…という憤りはある。

それなら新しく決めた日を盛大に祝いたい、過去など忘れ去るくらいに。

これは夜天羅を愛しているがゆえの事情が乗りまくった俺の秘めた気持ち。


「じゃあ…好意に甘えて決めたいのじゃ…一緒に考えてくれるかの?」

「もちろん。」

俺は即答した、そうして二人でスマホのカレンダーを見て色々と相談をした。

数字の並びが綺麗だとか祝日と被らないとか意見を出し合い話し合った、その結果。

「うむ!この日が良いのじゃ!」

十分に悩み、相談してその中で夜天羅が選んだ日は────


「八月一五日か、いいな。」

旧暦でいえば十五夜それに観月祭が行われる月にまつわる日。

「なんでこの日にしたんだ?」

話し合いをしている時などで候補としては他にも色々とあった、その中でこの日を選んだ理由が純粋に気になった。

「ふふっそれは月に関する日だからじゃ。」


夜天羅はそう言って俺に抱きついた、受け止めて抱きしめ返す。

「月に関する?」

「お前様のその月夜を愛でる日にもしたかったのじゃ。」

俺が言葉を発する前に夜天羅は優しく口付けをする、決めた理由に俺が含まれているのは嬉しくもありなんだか恥ずかしさもある。

八月一五日…それが夜天羅の新しい誕生日になる、その日は新しい門出になる日。

盛大に祝って、個人的には過去を更に忘れさせる様なそんな日にしたい。

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