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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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余談「君の日:中」前編

「お前様!」

「ごめん、ちょっと遅くなった。」

出迎えてくれた夜天羅と話しながら書院の中へ入っていく、暖房の効いた暖かい部屋が心地よい。

「今日も外は寒いのう…早う暖かく心地よい時期になれば良いのにの」

年々寒さも暑さも厳しくなるばかりで心地よい時期はほんの一瞬になってきた…しかし。


「だなぁ…ま、悪い事ばっかじゃないけどな。」

「うむ?」

「鍋がうまい」

夜天羅に今日持ってきた食材を見せる、普段はほとんど調理済みを温める事が多いが鍋の様な料理は食材を持たせて調理する事もある。

「おお!いいのう!確かに冬の鍋は美味しいのじゃ!」


食材を夜天羅へ手渡すと上機嫌な様子で冷蔵庫へ直す。

それからはいつも通りに居間でこたつに入りながら夜天羅と一緒に過ごす。

ん〜にゃぁ……

「コイスケお前こんなとこに居たのか。」

にゅるんとこたつの布団から這い出てきたのは飼い猫のコイスケ。

「見当たらんと思ったらこたつで寝ておったんじゃな」


夜天羅は寝ぼけているコイスケの乱れた体毛を手で撫でて軽く整えてあげる。

目が覚めたコイスケは自分でも毛を整え始めた。

「おぉすごい雪じゃのう。」

「まだ北の方は冬真っ盛りな感じだな。」

テレビでは夕方のニュースが流れ始めて豪雪地帯の映像が流れている。


……本当にいつも通りだ、いつも通りじゃないのは俺の心情。

両親に相談してストレートに直接、本人へ聞くと決めたのにいざ目の前にすると躊躇ってしまう。

こんな自分が少し情けなく感じる。

「………」

「どうした?」


夜天羅が俺の顔を見つめてくる…悩みが顔にでしまったか?

そう思ったが夜天羅は笑顔で一粒のみかんを俺の口元へ差し出した。

「ほれお前様もどうじゃ?甘くて美味しいのじゃ。」

「ありがと」

差し出されたみかんを食べる、ほのかな甘みと酸味が口内に広がり爽やかな気分にさせてくれる。


…気遣ってくれているんだろうか?その上で夜天羅は何も聞かずに寄り添ってくれているのか…?

もしそうだとすれば俺は早く夜天羅へ話をするべきだろう、しかし腹が決まらない。

それから…時間が過ぎ二人で鍋を囲み片付けてなど全て終わり食後の穏やかな時間を二人で過ごす。


夜天羅は俺の左側に並んで座っている、これはいつもの定位置だ。

腕を絡めて少し体重を預けられた、今は適当にバラエティ番組を流してそれを見見ていた。

「のう…お前様。」

「ん?」

真剣な眼差しで俺を見つめてくる夜天羅と目が合う、イチャつきたい…そんな雰囲気は感じない。

「なにか…悩みがあるんじゃないかのう?」

思いっきり図星である、やはり夜天羅は薄々気がついていたか…。

逆に夜天羅が悩んでいれば俺も早々に気がつくだろう。

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